RCEP署名

その他

 世界は自由貿易体制の構築を目指しています。そのような中で戦後長い間関税と貿易に関する一般協定(GATT)が大きな役割を果たしていましたが、その後世界貿易機関(WTO)という組織がつくられました。一方、各国はFTA(自由貿易協定)EPA(経済連携協定)、さらには地域統合を進めています。これによって、貿易や企業の経済活動を共通のルールの下で活発にしていこうとしています。

 2020年11月15日、日本・中国・韓国・東南アジア諸国連合(ASEAN)、オーストラリア、ニュージーランドの15か国が「RCEP(アールセップ、地域的な包括的経済連携)」に署名しました。これはEPAの一つで、自由貿易を進めるために関税の撤廃や引き下げ、投資や知的財産権の保護について共通のルールを定めたものです。これによって、多くの品目で関税が撤廃されたり引き下げられたりします。企業が参加国で自由に活動するためのルールも共通のものが定められました。発効すると世界の人口・国内総生産(GDP)の約30%を占める巨大な自由貿易圏が誕生します。

 巨大な自由貿易圏としては、TPP(環太平洋経済連携協定)があります。これは太平洋を取り巻く11か国間で結ばれたEPAです。当初はアメリカも交渉に参加していましたが、アメリカはトランプ大統領(当時)の下離脱してしまい、2018年12月に11か国で発効しました

 日本は基本的に資源に恵まれていません。そのため、エネルギー資源のほとんどを輸入に頼っています。その結果、原料を輸入して製品を輸出するという加工貿易を長年行ってきました。しかし、近年中国など人件費の安い国から安価な機械などの製品を輸入しているため加工貿易色は薄まってきています。

 食料についても、自給率は40%を切っており、先進国の中ではとても低い水準です。小麦、大豆、とうもろこしなどは特に低くなっています。輸入に依存しているので、相手国の戦争や不作、政変、自然災害などの時に食糧の確保に大きな影響が出る可能性があります。

 また、近年のエネルギー価格の上昇は日本を貿易赤字国へと変えていきました。2020年は久しぶりに黒字になりましたが、現在の貿易構造では貿易赤字になることが多い状態となっています。

 EPAは国内の問題点を解消するために使われることもあります。日本では、十数年前まで外国人労働者の受け入れにあまり積極的ではありませんでした。団塊の世代がまだ現役で働いていたので労働力が余っていたからです。ところが、団塊の世代が定年を迎えると、労働力不足に悩み始めます。特に介護の現場では人手不足が大きな問題になっています。そこで、インドネシア、フィリピン、ベトナムとのEPAを結び、外国人の介護士の受け入れを開始しました。国際化が進み、外国との交流を自由にしていくという流れはこのようなところにも影響を及ぼしています。

   … 自由貿易協定。2か国以上の国・地域の間で貿易の自由化のために結ぶ協定。

    … 経済連携協定。貿易だけでなく人的交流や投資の促進も含めた協定。

    … 環太平洋経済連携協定。11か国で締結。アメリカは離脱した。

   … 地域的な包括的経済連携協定。中国が参加している。

   … 東南アジア諸国連合。10か国が参加。

   … アメリカ・メキシコ・カナダ協定。NAFTA(北米自由貿易協定)に代わる北米の貿易協定。トランプ前大統領が推進した。

   … ヨーロッパ連合。経済だけでなく政治的な統合も目指す。27か国が参加し、共通通貨  を使用している。  が離脱。

   … アフリカ連合。

10

RCEP署名

1 / 7

EUの共通通貨を何と言いますか。

2 / 7

日本のカロリーベースの食糧自給率に最も近いのはどれですか。

3 / 7

日本がEPAによって受け入れを始めた職種を選びなさい。

4 / 7

自国の産業を守るために貿易を制限したり高率の関税をかけたりする政策を何と言いますか。

5 / 7

2020年にEUから離脱した国を選びなさい。

6 / 7

RCEPに参加していない国を選びなさい。

7 / 7

TPPに参加している国を選びなさい。

コメント