12 脱炭素とエネルギー政策

最近、「脱炭素」という言葉をニュースで聞くことが増えています。この「脱炭素」とは、二酸化炭素(CO2)をできるだけ出さないようにする取り組みのことです。一方で、「エネルギー安全保障」という問題もあります。これは、電気やガスなどのエネルギーを安定して確保するための取り組みです。この2つはどちらも大切ですが、同時に解決するのがとても難しい問題です。

脱炭素ってなに?

脱炭素とは、地球温暖化を防ぐためにCO2の排出を減らす取り組みです。地球温暖化が進むと、気温が上がりすぎたり、海面が上昇したりして、私たちの生活に大きな影響を与えます。そのため、世界中の国々が「脱炭素」を目指してCO2を減らそうとしています。

エネルギー安全保障とは?

エネルギー安全保障とは、必要な電気やエネルギーを安定して供給できるようにすることです。特に日本のように資源が少ない国では、海外から石油やガスを輸入しています。しかし、戦争や紛争、天候の影響で、これらのエネルギーが手に入らなくなる可能性があります。そうなると、電気やガスが足りなくなり、生活や産業が困ってしまうのです。

石炭火力発電所と日本の状況

 電気を作る方法には、いくつか種類があります。たとえば、再生可能エネルギー(太陽光や風力)、原子力発電、そして石炭火力発電などです。この中で、石炭火力発電はたくさんの電気を安定して作れる一方で、たくさんのCO2を排出します。

世界では、石炭火力発電所を減らしていく動きが進んでいます。例えば、ヨーロッパの国々やアメリカは、脱炭素を目指して石炭火力発電所を廃止しています。しかし、日本では石炭火力発電所を完全になくすことが難しい状況です。その理由は次の通りです。

なぜ日本は石炭火力発電所をやめられないのか?

  1. 電力の安定供給が必要
    日本は地震や台風が多く、再生可能エネルギーだけでは電力を安定して供給するのが難しい場合があります。石炭火力発電所は、天候に左右されず安定して電気を作れるため重要です。
  2. 再生可能エネルギーの普及が遅れている
    日本では太陽光や風力発電を増やそうとしていますが、土地の限界や設備投資のコストが高いため、まだ十分ではありません。
  3. エネルギー安全保障の観点
    日本は石油や天然ガスを多く海外から輸入していますが、これらのエネルギーが手に入らなくなるリスクもあります。石炭は他のエネルギーに比べて供給が安定しているため、完全にやめるのが難しいのです。

ドイツの原子力発電所廃止の動きと再生可能エネルギー

 ドイツでは、原子力発電所を使わない国にしようという動きが進んでいます。この動きを「脱原発(だつげんぱつ)」といいます。ドイツが脱原発を選んだ理由やその結果について、詳しく説明します。

なぜドイツは原子力発電所を廃止したの?

 ドイツは昔、たくさんの原子力発電所を使って電気を作っていました。原子力発電はCO2をほとんど出さないため、地球温暖化対策には良い方法のように思われていました。しかし、以下の理由から、原子力発電所をやめることを決めました。

  1. 福島第一原発の事故の影響
    2011年に日本で起きた福島第一原発の事故は、ドイツでも大きな衝撃を与えました。これをきっかけに、「もし自分の国でも事故が起きたらどうなるか?」という心配が高まりました。
  2. 放射性廃棄物の問題
    原子力発電を使うと、放射性廃棄物(ほうしゃせいはいきぶつ)という非常に危険なゴミが出ます。このゴミを安全に管理するのが難しいことも問題視されました。
  3. 国民の意見
    ドイツでは多くの国民が原子力発電に反対していました。ドイツでは国民投票を行い、その結果、政府はその意見を尊重しまし原子力発電所の廃止を決定しました。

ドイツの脱原発の動き

 ドイツは原子力発電所を段階的に止める「脱原発政策」を進め、2023年4月には最後の原子力発電所も運転を終了しました。この政策により、ドイツでは原子力による発電は完全になくなりました。

再生可能エネルギーが増えた!

 原子力発電所を廃止したことで、ドイツは再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力など)を増やす必要がありました。その結果、再生可能エネルギーの割合が大きく成長しました。

  • 現在の割合(2023年)
    ドイツでは、発電量の約50%が再生可能エネルギーでまかなわれています。特に、風力発電と太陽光発電が大きな役割を果たしています。
  • 今後の目標
    ドイツは、2030年までに再生可能エネルギーを電力の80%以上に増やすことを目標としています。さらに、2045年には、ほぼすべての電力を再生可能エネルギーで供給する「カーボンニュートラル」を達成する計画です。

世界と日本の課題

 石炭はCO2の排出量が大きい燃料です。だから、世界中では石炭火力発電所をなくし、再生可能エネルギーを増やすことで脱炭素を進めています。一方で、日本もCO2を減らす努力をしていますが、エネルギー安全保障とのバランスが難しいため、石炭火力発電所を完全になくすことはまだできていません。

 また、2022年以降のウクライナでの戦争やエネルギー価格の高騰も影響しています。これによって天然ガスなどの輸入が難しくなり、石炭に頼らざるを得ない場面も増えました。

どうしていくべき?

  1. 再生可能エネルギーを増やす
    日本でも、もっと太陽光や風力発電を広める必要があります。また、電力を効率よく使う技術の発展も大切です。
  2. 新しい技術の開発
    CO2を排出しない新しいエネルギー技術(例えば水素エネルギーやCCUS:CO2を捕まえて地中に閉じ込める技術)が進められています。
  3. 国際的な協力
    世界全体で脱炭素に取り組むために、他国と協力して新しい技術や資源を共有することも重要です。

課題点

 再生可能エネルギーを増やすことは良いことですが、いくつか課題もあります。

  1. 天候に左右される
    太陽光発電や風力発電は、天気や風の強さに影響されるため、安定した電力供給が難しい場合があります。
  2. 電力の安定供給のための技術が必要
    たとえば、発電した電気を蓄える「蓄電池(ちくでんち)」や、他国との電力のやり取りをする仕組みが必要です。ただし、日本と違うのはヨーロッパは隣国と陸続きです。例えば隣のフランスは原子力発電でたくさんの電気を発電しています。実際に今もフランスから電気を購入していますし、いざという時にフランスに余裕があれば助けてもらうこともできます。このような点は地理的に日本と違う点ですね。
  3. コストの問題
    再生可能エネルギーを増やすための設備を作るには、多くの費用がかかります。特に、原子力発電所の全廃を決めてから実際に全廃するまでの間にたくさんの新たな発電所を建設しました。この費用は膨大なもので、電気料金から負担したため、この期間のドイツの電気料金は非常に割高なものだったようです。
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24-12 脱炭素とエネルギー政策

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福島第一原発事故は何年に起きましたか?

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脱炭素とエネルギー安全保障はどのような関係にありますか?

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日本が脱炭素を進める上で難しい点は何ですか?

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日本が今後脱炭素を進めていくために必要なことは何ですか?

5 / 10

日本のエネルギー自給率は低いですが、その理由の一つは何ですか?

6 / 10

脱炭素とはどのような取り組みですか?

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日本が海外から輸入しているエネルギー資源は何ですか?

8 / 10

ドイツは2045年に何を目指していますか?

9 / 10

ドイツでは原子力発電所の廃止後、何を増やす必要がありましたか?

10 / 10

発電した電気を蓄えるものを何と言いますか?

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