核兵器の保有や使用を禁止する核兵器禁止条約が2021年1月22日に発効しました。アメリカ・中国・ロシア・イギリス・フランス・インド・パキスタンという核保有国は参加していません。
2021年8月6日、76回目の原爆記念の日を迎えた広島の平和記念式典に出席した菅首相はあいさつで核兵器禁止条約について触れませんでした。そして、その後の記者会見で条約に参加する考えはないことを表明しました。もともと日本政府は実効性が乏しいとして参加しないとしていました。もちろん、日本はアメリカの「核の傘」によって守られているという事情もあります。同様の事情を抱えている韓国も参加していません。しかし、日本は唯一の被爆国であり、核兵器禁止条約に参加するべきだという世論は根強くあります。
核兵器禁止条約が結ばれることでどのようなことが起こるのでしょうか。この条約が締結され、批准されたからといってすぐに核兵器がない世界が実現するというものではありません。しかし、核兵器自体が非合法なものという位置づけになれば、利用はもちろん保有するだけで国際的に非難を浴びることになります。また、核兵器を開発する技術の開発や投資をおこなう企業に対する目も厳しくなるでしょう。少しずつ、核兵器を取り巻く環境が変わる可能性はあります。
ノーベル平和賞を見ても、2017年のICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)や2009年のオバマアメリカ大統領(核のない世界を訴えた)の授賞など核兵器廃絶を目指す動きが評価されています。現代でも核兵器廃絶を目指すということは国際的な目標です。しかし、現実の政治の動きの中で実現が難しい目標でもあります。今回の条約に対する各国の態度はそのことを如実に示しているといえます。
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