中国の強大化
ここ数年、中国が欧米諸国と激しく対立しています。その中心となっているのが中国の習近平国家主席です。もともと、中国は1949年に毛沢東を中心とした中国共産党によって建国されました。こうして建国された中華人民共和国は社会主義国家として計画経済を実施してきました。また、政治的には共産党一党独裁国家であり、言論の自由が厳しく制限されるなど人権問題がたびたび取りざたされてきました。特に、人口の9割以上を占める漢民族とそれ以外の55の少数民族からなる中国では、少数民族への人権侵害がたびたび指摘されています。新疆ウイグル自治区におけるウイグル族への不当な拘束や強制労働などの人権侵害は大きな問題となっていますが、中国は否定するとともに猛反発しています。また、チベット自治区でも独立問題を抱えており、チベット仏教の指導者であるダライ=ラマはインドに亡命したままです。
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香港はアヘン戦争後1842年に結ばれた南京条約でイギリスに割譲されました。その後、1997年に中国に返還されましたが、その際返還後50年間は香港の政治体制は維持するという約束をしました。中国は社会主義なのに対して、香港は資本主義の体制を維持するということで、これを「一国二制度」とよびます。ところが、習近平国家主席はこれに反する動きをしてきました。香港では言論の自由などがどんどん奪われ、2019年には香港で逮捕された容疑者を中国本土に引き渡すことが可能になる条例が提出されました。これはのちに廃案になったものの、2020年には香港国家安全維持法が成立し、香港での反体制派を取り締まることができるようになりました。香港では民主化を求める民主化デモが起こりましたが、取り締まりは強まり、中国政府に批判的な新聞も閉鎖されてしまいました。
南シナ海と東シナ海は、アジア・太平洋地域の平和と安全を保つうえで重要な海域です。この海域への進出を強めているのが中国です。下の図は東アジアをいつもとは違う方向から見たものです。中国から見ると、日本列島~南西諸島~台湾~フィリピンが出口をふさいでいるように見えます。この地域に進出しようとすると必然的に領土問題も発生します。南シナ海では南沙諸島(スプラトリー諸島)をめぐって中国、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイが争っています。中国は一方的に人工島や軍事拠点をつくり、南沙諸島の領有を既成事実化しています。東シナ海では日本の領土である尖閣諸島に繰り返し侵入し、時には軍事的な挑発とも受け取られかねない行動もしています。さらに、台湾周辺でも軍事演習を行い、台湾統一もスローガンとして挙げるなど圧力をかけています。
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以上のような覇権主義に対して2021年6月のG7サミットでは、台湾海峡の平和と安定を脅かす中国の行動に対する懸念が初めて首脳宣言に盛り込まれました。
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