2019年末に中国・武漢で発見された新型コロナウイルスは全世界に広がり、猛威を振るっています。日本も大きな影響を受けました。
日本の対応
2020年に入ると、日本でもコロナウイルス感染者が増えていきます。2020年2月末には安倍晋三首相(当時)が全国の小中高校に休校を要請しました。3月に政府は「歴史的緊急事態である」という声明を出しましたが、その後も感染拡大は止まらず4月には1回目の緊急事態宣言が発出されました。さらに2021年1月に2回目、2021年4月に3回目、7月に4回目の宣言が発出されました。感染状況が特にひどい地域で発出されたのが緊急事態宣言ですが、そこまでではない地域ではまん延防止重点措置となっています。
緊急事態宣言が発出されてしばらくすると感染者数が減りますが、解除されると増加することが繰り返されました。さらに、3回目の時は大阪で、4回目の時は東京で医療のひっ迫が大きな問題になりました。また、人流を抑えるために、イベント等の人数制限や飲食店の営業が制限されるなどの措置が取られました。特に飲食店は経営が厳しくなった店もあり、補償金(協力金)の金額が少なかったり、なかなか振り込まれなかったりしたため、閉店を余儀なくされる店が出るなどの問題も出ました。
コロナウイルス
コロナウイルスそのものは今までに50種類以上見つかっています。そのうち人間に感染するのは6種類です。4種類は感染しても風邪と診断される程度のものです。もしかしたら皆さんも感染したことがあるかもしれません。しかし、残りの2種類は重症化してしまいます。SARS(重症急性呼吸器症候群)とMERS(中東呼吸器症候群)と呼ばれるウイルスです。そして、今回新たに見つかったのが新型コロナウイルスです。そして、このウイルスによって引き起こされる感染症をCOVID19と呼びます
コロナウイルスは変異しやすいという特色があります。そして、変異したウイルスによって感染状況が大きく変わりました。有名なものは、2020年イギリスで発見されたアルファ株、2020年10月にインドで発見されたデルタ株などです。変異株は感染力が強い場合もあり、日本で感染者数が増加する一因になったと考えられています。
新しい生活様式
2020年12月、世界各地でコロナワクチンの接種が始まりました。日本でもワクチンがコロナ感染症拡大を防ぐ切り札として期待されました。2021年2月に医療従事者から接種が始まり、4月からは重症化しやすい高齢者への接種が始まりました。6月以降は地方自治体や自衛隊が設置した接種会場を中心に一般の人への接種が始まりました。政府は1日100万人の接種を目標としますが、一時はワクチン不足が明らかになり、混乱に陥る地方自治体もありました。政府は10~11月には希望者全員へのワクチン接種を終わらせたい意向で、実際に2021年10月末にはワクチン接種率は70%を超えています。
1回目の緊急事態宣言の時に安倍晋三首相(当時)は「新しい生活様式」を提示しました。ここでは、マスクの着用、うがい手洗い、ソーシャルディスタンスを取ることなど基本的な感染症対策が推奨され、「三蜜」=密集・密接・密閉を避けること、さらに人の移動を減らすためのリモートワーク(テレワーク)や時差出勤が提唱されました。実際にテレワークが普及し、オンライン授業やオンライン会議も普通に行われるようになりました。オンラインショッピングの利用率も上昇し、生活や社会も変化したといえるでしょう。
2002年に中国で報告され、8000人以上が感染した。コウモリから広がったウイルスといわれる。
2012年に中東地域を中心に感染が報告された。ヒトコブラクダから広まったといわれる。
国が都道府県に対して発出し、学校や映画館など大人数が集まる場所の休業、飲食店などに対して営業時間短縮を要請できるようになる。
国が発出するが、市町村など細かい単位でも出せる。感染者拡大を防ぐための措置を要請できるようになる。
新型コロナウイルス感染症の拡大によって生まれた新習慣。感染を防ぐために日常生活で互いに取り合う間隔のことで、咳やくしゃみの飛沫が拡散する距離をもとに2メートルとされている。
以前からある言葉であるが、新型コロナウイルス感染症の拡大によって「ある場所・時間帯における人手の様子や規模」という意味で使われるようになった。人流を抑制することが新型コロナウイルス感染症の拡大を防止する対策となった。
文字通り黙って食べること。飲食店などで新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐための方法。学校などでも推奨されている。他にも黙乗(交通機関の利用)、黙浴(共同浴場の利用)などの言葉も登場した。
会食する際は飲食しているとき以外はマスクを着用するというマナーのこと。
ICT(情報通信技術)を利用活用し、時間と場所を有効活用し様々な人の多様なスタイルに応じた働き方を可能とすること。もともとは育児などと仕事の両立を目指して行われていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため出勤せずに自宅で仕事をすることを指すようになった。
公共関連の仕事、医療従事者、肉体労働など社会に必要不可欠な仕事のこと。必ず通勤しなければならない仕事も存在するため、新型コロナウイルス感染症の拡大のなかで本人の意思にかかわらず通勤し、人と接して仕事をしなければならない仕事として注目された。
勤務時間外や休日に仕事上の連絡への対応を拒否する権利。リモートワークの普及に伴い、以前にもまして長時間労働が行われている場合もあり、また、自宅で仕事をするため仕事時間と休息時間の区別もなくなっている場合があることから注目されている。2016年にはフランスで法制化されている。
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