22 早稲田 教育 地理 解説

問題演習

大問1

まず、1~4がどこの国かを考えましょう。やはり、早稲田大学ですので、細かい知識も必要としています。

1 BW気候が卓越するのだから、おそらく西アジア。西アジアにある湾といえばペルシア湾くらいしか思い浮かびません。一次資源を加工したものを輸出しているというのも石油関連製品だとすればつじつまが合います。ペルシア湾で30余りの島を持つ島国といえば、バーレーンです。(バーレーン大使館ホームページには約40の島からなる島国と紹介されています。)

2 2002年に独立したインドネシア周辺の国(小スンダ諸島ということからわかる)といえば、東ティモールです。21世紀初の独立国です。

3 人口密度も一人あたりGDPも際立って高い都市国家ということからシンガポールが思い浮かびます。

4 島国の中で民族対立が発生していたが、2009年に一応内戦が終結したというところからスリランカが思い浮かぶ。後半部分の旧国名を冠したブランドで知られる輸出品というのがセイロンティーであることを考えるとつじつまがあう。

問1

a  バーレーンの住民のうち、バーレーン国籍の人は半数弱です。半数を超える人は外国人労働者でインド人が有名です。バーレーン国籍を持つ人の多くはアラブ人です。これは、想像できると思います。アラブ人が7割を占め、印僑が2割、ペルシア人が1割程度の割合です。ちなみに、宗教は国王はイスラーム教スンナ派ですが、住民はシーア派が多数を占めています。これは、シーア派アフシャール朝の支配下にあったことが影響しているといわれています。シーア派が多い国としてはイラン・イラク・イエメン・オマーン・バーレーンなどは覚えておくとよいと思います。
かつては石油を豊富に産出していましたが、近年は石油の産出量は減少し、周辺諸国から輸入して石油の精製やアルミニウムの精製を行い輸出することを主な産業としています。

b ミクロネシア・ポリネシア・メラネシアの位置がわかっていれば正解できるはず。(もちろん、東ティモールの位置がわかることは必要)。

c 東ティモールはポルトガルの植民地であった。したがって、カトリック教徒の割合が高い。公用語もテトゥン語にくわえてポルトガル語も指定されている。また、東南アジアにありながらASEANに未加盟であることも注意。

d シンガポールは全土(シンガポール島にその他の島々)を合わせても700km2余り。沖縄島は1000km2以上あるので、淡路島が選べる。

e スリランカではシンハラ人上座部仏教・多数派)とタミル人ヒンドゥー教・少数派)が対立している。タミル人は選挙権をはく奪されるなどしたことに反発し、LTTE(タミル・イスラーム解放のトラ)を中心に内戦を繰り広げていた。2009年に内戦は終結した。

問4 p、qが何かを考えれば正解できる。pはバーレーンで「一次資源を加工したもの」とあるから、石油製品であることは思いつくと思う。したがって、石油の輸出額に当てはまるものを選べばよい。正解は1.サウジアラビア、2.ロシア、3.イラク。気を付けてほしいのは産出量ではない。区別して覚えるようにしましょう。
qはお茶である。お茶の生産は中国で伝統的に多い。その他には、イギリスの植民地で多くなる傾向がある。生産量は1.中国、2.インド、3.ケニアであるが、輸出量は1.ケニア、2.中国、3.インドとなる(2017年の統計では3.スリランカとなっている)

大問2

この問題も、それぞれの文章がどの国を説明しているのかがわかればいいですね。今これを見ている皆さんはこれからテストを受けるために勉強している人が多いと思います。であるならなおさらのこと、正解を出すことと同時に、細かいところまで知識を確認してください。

1.コメの生産量で世界の上位5か国に入るとあります。共通試験も含めて主要統計は正確に覚えたいものです。コメの生産量は1.中国、2.インド、3.インドネシア、4.バングラデシュ、5.ベトナムです。
 ちなみに、作付面積だとインドが1位になり、中国は2位になります。単位面積当たりの収量が多いということで、このあたりにもインドと中国の発展の差が出てきています。
この文章では、「かつて集団生産農業がおこなわれていた」とあります。そうすると、社会主義国ということになります。この時点で中国かベトナムが正解になります。
 さらに、後半の「旧宗主国の影響で……」という文章からベトナムであることがわかります。当然、ベトナムの旧宗主国はフランス。ベトナムでコーヒーの生産量が伸びているのもフランスの影響だといえます。
 南部にはメコン川が流れ、流域は稲作地帯になっています。ベトナムでコメから作った麺といえば、フォーですね。

2.コメの生産が世界第2位ということからも、「ピンクの革命」「白い革命」という用語からもインドであることがわかります。経済発展が進んでいるということもぴったり当てはまります。インドは降水量1000㎜未満のところでは小麦、1000㎜以上のところではコメの生産がさかんです。下のグラフを見てもわかるように、インドの人口の約80%はヒンドゥー教徒です。この人たちが牛を食さないわけです。また、人口の14%はイスラーム教徒です。この人たちは豚を食さないので、インドで一番消費されている肉といえば羊になります。インドで経済発展とともに肉類の消費が増えているというのは文字通りの意味で、ここについてはどの国度も起こることです。
 ただし、インドの場合は次の点にも注意してください。ひとつめはインドの気温です。インドは非常に気温が高いため、すぐに肉が傷んでしまいます。それが冷蔵・冷凍設備を使うことができるようになったということです。二つ目は、インドの人口です。13億人という規模ですから、ヒンドゥー教徒以外が20%を占めるということは日本の人口よりも多い人が牛を食べるわけです。ということは、当然牛肉も消費は増大しているのですが、量としてはものすごい量になります。そのあたりも理解していただけるとよいと思います。

3.大豆の生産世界1位なのでブラジル(1 ブラジル、2 アメリカ、3 アルゼンチン、4 中国、5 インド)。また、とうもろこしの3位ということからもわかる(1 アメリカ、2 中国、3 ブラジル、4 アルゼンチン、5 ウクライナ)。ブラジルで生産・消費が多い肉といえば鶏肉である。本文にある通り、世界最大の輸出国となっている。
ブラジルで不毛な土地であったのが日本の援助で開発されたのはセラード。ブラジル中央部のBS気候が広がる地域。土は酸性で牧畜しか行われていなかったが日本の援助によって大規模な開発が行われている。将来は穀倉地帯になることが期待されている。

4.これは読んだ瞬間わかってほしい。日本である。食料自給率が38%というあたりで判断できると思う。1960年代には食生活のよう風化と米の増産が続いたことによって米の消費量が生産量を下回るようになり、1970年代以降の減反政策に繋がった。現在は米の消費量はさらに下がったが、食糧管理制度も廃止され輸入自由化などもあって生産量も減少を続けている。自給率も上昇させることができずにいるが、一方で食料品の廃棄であるフードロスなども問題になっている。地理を学習する時に自分の国というのはわかりやすい基準に成るはずである。日本のことはしっかりと覚えておきたい。

問3 白い革命の背景について適当でないものはロ。まず、インドにおいて牛は神聖な動物であるが、飼育されていないわけではない。また、水牛を中心に牛乳は飲まれていたし、上の説明に書いた通り牛肉を食べることが許されている人口を考えると、日本の総人口以上になる。従って、牛の飼育頭数自体は以前からかなり多かったのであり、牛の飼育頭数が増加したから白い革命が起こったというのは適当でない文章になる。
インドでは水もあまり衛生的でないものが多い。その点、牛乳を飲めれば安全に水分を補給することができ、栄養源にもなる。そのような意味でも白い革命は重要といえる。

問4 一人当たりG N Iを理解して入れば良い。イがインド。インドはBRICSの一員ではあるが、まだまだ貧困層が多い。コロナウイルス蔓延の影響もあり、最新のデータでは2000ドルを切っている。ロがベトナム。そして、ハがブラジル。現在中進国というイメージ。一番たかい二が日本。平均寿命や乳児死亡率をみても判断で切ると思う。

大問3

アメリカの地誌。全体的にはできて欲しいレベルの知識が多いと思います。それぞれの地名をきちんと地図で確認しながら復習してほしいと思います。その際に、緯度・経度を確認することをお忘れなく。

まず、本文を読んでみる。Aは排他的な権利の及ぶ海域なので「排他的経済水域」である。アルファベットではEEZ。Wはアメリカで最も広い州なのでアラスカ州。ここに流れる川はユーコン川。カナダから流れてくる川。1964年の地震は知らなかった人もいるかもしれないが、マグニチュード9を超えるようないわゆる巨大地震については覚えておいてもよい。別の3000kmを超えるもう一つの川とはミシシッピ川。その下流にあるのはルイジアナ州。ニューオリンズは2005年のハリケーンで大規模な被害を受けた。場所的にはミシシッピ州も当てはまりそうだが、州都ジャクソンはデルタ地帯ではない。

 西経100度の経線については基本事項。そして、適地適作も当然知っているべき事項。アメリカ最大の農業州はカリフォルニア州。Cs気候が広がっているので果樹栽培がさかん。また、稲作についてもカリフォルニア州はアメリカ最大の収穫量を誇る。カリフォルニアでは1910年代に稲作が始まったといわれるが、これは日本人移民が行われた時期と重なり、日本人も稲作の発展に寄与したと言われている。
 一方、カリフォルニアは石油が産出し、そこから石油化学工業や航空機産業もさかんな州である。2000年代に入るとアメリカ各地でシェールオイルの生産が始まり、アメリカの石油事情は大きく変化している。

 アメリカ合衆国は歴史的に多くの移民を受け入れていた国(そもそも移民によって独立した国)である。そこから、「人種のサラダボウル」と呼ばれる多くの人種が混ざり合う国であるが、一方でセグリケーションと呼ばれる人種の住み分けが見られる地域もある。セグリケーションはもしかしたら聞いたことのない人もいるかもしれないが、都市問題では覚えてほしい用語である。

 2002年に冬季オリンピックが行われたのはソルトレークシティ。ユタ州の都市である。ユタ州はモルモン教と呼ばれるキリスト教の一派が本拠地を置いていることでも有名である。

問2 地図を見るときに必ず緯線・経線を意識する癖を付けましょう。グアムを調べること自体があまりないかもしれないが、このような問題が出たときに対処できるようにしてほしい。

現代の超巨大地震(推定マグニチュード9以上)

1952年 カムチャツカ地震

1957年 アリューシャン地震

1960年 チリ地震  ※ 世界の観測史上最大の地震(マグニチュード9.2〜9.5)

1964年 アラスカ地震

2004年 スマトラ沖地震

2010年 チリ・マウレ地震

2011年 東北地方太平洋沖地震  ※ 日本の観測史上最大の地震(マグニチュード9.0〜9.1)

問3 アメリカのメキシコ湾岸なのでAやDはない。また、西岸ではないのでCsもありえない。

問4 これも基本問題。500㎜の年間降水量とほぼ重なっている。

問5 イはミネソタ州。バイオエタノールの生産が有名。ちなみに、ミネソタ州にはミシシッピ川の源流がある。
ロはコロラド州。コロラドスプリングなどに半導体を軍事技術に応用するメーカーがたくさんある。この地域をシリコンマウンテンという。
ハがカリフォルニア州。2つの大都市、シリコンバレーなどから判断出来る。
二はミシガン州。スノーベルトの中心である。

問6 貧困状態にある人口の割合が高いのはルイジアナ州。南部にあり、元々が綿花の栽培がさかんな地域で黒人の割合も高いこと。そして、水害の影響などで貧困率が高くなっていると考えられる。

問7 まず、解くときに問題用紙を汚すこと。各項目の最大値にまるをつけるなどの工夫をしてほしい。何もせずに眺めていても正解が浮かび上がってくることは無い。
ホは白人の割合が90%を超える。これはユダヤ教。そもそもユダヤ人しかいないと言っても過言では無い宗教である。
イはアジア系が90%を超える。これはヒンドゥー教。基本的にインドでしか信仰されていない宗教と言ってもいい。
ロは黒人が多いのでイスラーム教。西アジアからアフリカにかけて特に信者が多いことからもわかる。
二はヒスパニックに多いのでカトリック。中南米はポルトガル・スペインの植民地であったことからもカトリックの割合が多い。
残ったハは仏教。気にしたことが無いかもしれないが、アメリカにおいては仏教はさまざまな人種に広く信仰されている。プロゴルファーのタイガーウッズも仏教徒である。

問4

問1 前後の文脈からも判断できると思う。プレート境界の変動域で起こるものだから、A 地殻変動とB 火山活動が当てはまる。狭まる境界の内側に火山フロントができるというのは今年の共通試験でも出題されている。
CとDはどの時期に造られた地形かという問題。特に問題がないはずだが、覚えていないという人も少なくないように思う。このような出題もあるので、気をつけてほしい。Eは安定陸塊が入るが、選択肢の中で安定陸塊に当てはまるのは卓状地・楯状地である。

問2 X アルタイ山脈とテンシャン山脈は古期造山帯であるが、侵食を受けた後に再び造山活動があり、標高が高いのが特色。

問2 Y カルパティア山脈が新期造山帯である事も重要。ルーマニアからウクライナ、ポーランドにかけて広がる山脈でアルプス=ヒマラヤ造山帯の一部。ただし、標高はあまり高くない。

問3 地理という科目の特質なのか、最近の傾向なのか、このように読み取る問題は非常に多くなっている。正確に読み取るようにしよう。著者は「新期造山帯の山は険しく、それ以外の山はなだらかという説明は事実と異なる」と言っているが、「古期造山帯でも険しい山がある」とは言っていない。問2 X の解説のように実際には古期造山帯で険しい山は存在するが、あくまで著者の行ったことで判定しよう。

問4 油田・炭田名(ダモーダル炭田、ガワール油田)が若干細かいようにも思ったが、特に大きな問題はないと思う。石油が取れるのは背斜構造部分というのは、学習しているはずだし、言われると「そうだった」と思いながら言葉が出てこなかった人も少なくないと思う。問題演習をすることで解消されるので頑張りましょう。

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