2022年 共通試験 地理B 第2問

問題演習

リナさんたちは,地理の授業で持続可能な資源利用について探究した。資 源と産業に関する次の問い(問1~6)に答えよ。(配点20)

問1

リナさんたちは、まず資源の地域的な偏りを考えるために,主要な資源につ いて調べた。次の図1中の凡例アとイは炭田と油田のいずれかであり、文Aと Bは石炭と石油のいずれかを説明したものである。油田に該当する凡例と石油に該当する文との正しい組合せを、後の①~④のうちから一つ選べ。


A この資源は,生産量上位 10 か国の世界に占める割合が9割を超えており、世界最大の生産国と消費国が同一である。 
B この資源は、世界のエネルギー供給量の約3分の1を占めており、確認されている埋蔵量の約半分が特定の地域に偏っている。 

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2022年 共通試験 2-1

正解は④

凡例については、自分で見分けるポイントを持っていてほしい。私の場合、石油は中東、石炭はオーストラリアを見るようにしている。よって、石油はイ。文については石油はB。石油は特定の地域(=中東)に生産が偏っている。Aの文に、ある石炭の生産量と消費量が1位の国とは中国。

問2

次にリナさんたちは、先生から配られた資料1をもとに、世界の地域別の資源利用とその環境への影響について考えた。資料1中の図2は、世界の人口と世界の1次エネルギー消費量の推移を示したものであり、凡例カとキは、アフリカとヨーロッパのいずれかである。凡例キに該当する地域名と、資料1中の 文章の空欄Xに当てはまる語句との正しい組合せを、後の①~④のうちから一つ選べ。

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2022年 共通試験 2-2

正解は③

ヨーロッパとアフリカがどのような地域か考えてみる。ヨーロッパは18世紀から産業革命が起こり世界の先進地域となった。現在は人口はそれほど変化せず、エネルギー消費量もあまり変わらない(むしろ減らそうとしている)地域である。一方アフリカは、現在人口爆発が起こっている。エネルギー消費は絶対量は少ないかもしれないが、徐々に発展をしているため増えている地域である。
ということは、人口もエネルギー消費もヨーロッパはあまり変わらず、アフリカは増加しているということ。キとカを比べると、キは両方とも変わらないが、カは近年急激に増加しているのがわかる。ということは、キはヨーロッパ。このようなグラフを見るときは変化に着目すること。もちろん、単純な量だけでなく、割合に気を付けることも大切である。

アジアの一人当たりエネルギー消費は増加している。人口は2倍にしかなっていないのに、エネルギー消費は10倍程度になっていることを読み取れればわかる。

問3

次にリナさんたちは、1995年と2015年における各国のデータを調べて、経済発展が環境へ及ぼす影響について考察した。次の図3は、いくつかの国a~cと世界平均について、1人当たりGDPと1人当たり二酸化炭素排出量の変化を示したものである。また、後の文サ〜スは、図3中のa~cのいずれかにおける変化の背景をリナさんたちが整理したものである。a~cとサ〜スとの組合せとして最も適当なものを、後の1~6のうちから一つ選べ。

サ  産業構造の転換に伴い脱工業化が進み,再生可能エネルギーの普及も進んだ。

シ  資源が豊富にあるため、国内の燃料消費のコストが低いことや,世界的な 資源需要の高まりを背景に経済成長が進んだ。

ス  農業や軽工業が中心であったが,その後は工業化が進み,重工業の比率が高まった。 

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2022年 共通試験 2-3

正解は⑥

一人あたりGDPは当然高いほうが先進国、低いほうが途上国となる。これをきちんと意識して問題を解き始める。サの文章は、「再生エネルギーへの転換」とある。これは先進国の特色。よって、c。スをみると、「農業が中心……工業化がすすみ」とある。これは途上国の特色。よって、a。スは資源を産出する国。経済成長が進んだとあるので、一人あたりGDPが一番伸びているものを選べばよい。また、資源が安く手に入ることからたくさんの資源を使っていることも考えられる。よって、b。

問4

リナさんたちは、経済発展が環境へ及ぼす影響についての考察をふまえ、化石燃料と再生可能エネルギーの発電量について調べた。次の表1は、いくつかの国における化石燃料と再生可能エネルギーについて、発電量と総発電量*に占める割合を示したものである。表1をもとに環境への負荷について話し合っ た、先生とリナさんたちとの会話文中の下線部e~gについて、正誤の組合せとして正しいものを、後の①~⑧のうちから一つ選べ。
*化石燃料と再生可能エネルギーのほか、原子力などを含む。 

先生「環境への負荷を、化石燃料と再生可能エネルギーの二つから考えてみましょう。化石燃料による発電は環境への負荷が大きく、再生可能エネル ギーによる発電は環境への負荷がきわめて小さいとした場合、表1から環境への負荷はどのように考えられますか」
リナ「e国別でみた環境への負荷は、中国が最も大きくなるのではないでしょうか」
ナオキ「人口を考慮して環境への負荷を考えると、f1人当たりでみた環境への負荷は、アメリカ合衆国が最も大きくなると思います」
カオル 「近年は再生可能エネルギーも普及しているので、国ごとで評価するときには、発電量の大小ではなく構成比で考えるのが重要だと思います。g発電量の構成比でみると、ドイツが環境への負荷が最も小さい構成比であると考えます」
エミコ 「持続可能な資源利用に向けて環境への負荷を軽減する方法を考えていくことが重要ですね」 

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2022年 共通試験 2-4

正解は②

eについて、環境への負荷が大きいというのはたくさんの二酸化炭素を出しているということだから、割合ではなく量になる。つまり、化石燃料による発電量が多いものを選ぶ。すると、中国が最も大きいことがわかる。よって正しい。
fについて、一人あたりなので発電量を人口で割ればよい。もちろん、正確な計算をすることはなく、概算で行えばよい。人口を億人で計算すると、中国は47000÷14、アメリカは27000÷3.2、日本は8200÷1.2、ドイツは8500÷0.8、カナダは1300÷0.4。主要国の人口は大まかな数字だけでよいので覚えておくとよいが、ドイツとカナダについては再生可能エネルギーの割合が高いので計算する必要はないだろう。もっとも負荷がかかっているのはアメリカなので正しい。
gについて、これは「構成比」なので割合(%)をみる。再生可能エネルギーの割合はカナダのほうが高いので誤り。

問5

リナさんたちは、環境への負荷の軽減に寄与する森林資源に注目し、資源とその利用についてまとめた。次の図4は、いくつかの国における森林面積の減少率、木材輸出額、木材伐採量を示したものであり、K〜Mはエチオピア、ブラジル、ロシアのいずれか、凡例夕とチは薪炭材と用材*のいずれかである。ブラジルと薪炭材との正しい組合せを、後の①~④のうちから一つ選べ。
* 製材・ベニヤ材やパルプ材などの産業用の木材。

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2022年 共通試験 2-5

正解は③

薪炭材は先進国のほうが使用料は少なくなる。また、薪炭材は伐採されたところで使われ、輸出用になることはあまりない。また、森林の減少率は一般的に先進国のほうが少なくなる。仮にたくさん伐採しても植林も行われるからである。
まず、Kがロシア。3国のなかでは一番の先進国であり、森林減少率は低くなる。また、ロシアは木材の輸出額が多い国である。ブラジルとエチオピアは両者とも森林減少率が高い国として有名。その中でもエチオピアのほうが発展途上国であり、薪炭材の割合が高くなる。

以上のことを考えると、ブラジルはL、エチオピアはM。薪炭材はタとなる。

問6

リナさんたちは、これまで調べたことをもとに、循環型社会に向けた持続可能な資源利用の課題と取組みについて資料2にまとめた。各国でみられる取組みのうち、循環型社会に寄与するものとして適当でないものを、資料2中の①~④のうちから一つ選べ。

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2022年 共通試験 2-6

正解は②

マングローブ林をエビの養殖場にすることは東南アジアで問題になっている環境破壊(熱帯林の破壊)である。④はデポジット制度という。

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