2022年 共通試験 地理B 第1問

問題演習

第一問はセンター試験の頃から難しい大問であるといえる。いかに失点を少なくするかというのがポイント。

問1

大陸棚*は大陸プレートの縁辺部に広がる。次の図1中のaとbのいずれかは東南アジア周辺、また、アとイのいずれかは中央アメリカ周辺の大陸棚の分布を正しく示したものである。東南アジア周辺と中央アメリカ周辺の大陸棚を正しく示した記号の組合せを、後の1~4のうちから一つ選べ。 

*水深 200 m より浅い海域を大陸棚とする。

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2022年 共通試験 1-1

正解は③

狭まる境界とは、海洋プレートが大陸プレートの下に入り込んでいるところのこと。ここは下の図のようになる。海洋プレートが沈み込むところには海溝ができ、さらに大陸プレート側に火山ができる。つまり、狭まる境界があり、そこに成立した火山列島の海洋プレート側には大陸棚はできないということである。プレートと境界の分布も下に図を掲載する。

東南アジアの図をみる。aとbの違いは、大スンダ列島にある火山列島の南側に大陸棚があるかないかが目立つ。大スンダ列島の北側がユーラシアプレート(大陸プレート)で、南側がインド=オーストラリアプレート(海洋プレート)となっている。つまり、大スンダ列島にある火山列島の南側は海洋プレートだからそこに大陸棚は存在しない(海溝がある)。したがって、bが正しい。

南米の図では、中米(メキシコーグアテマラーニカラグアのあたり)に火山列島があり、その南側に大陸棚が歩かないかというのが違いになっている。南側はココスプレート(海洋プレート)で、北側が北アメリカプレート(大陸プレート)である。つまり、この火山列島の南側は海洋プレートだから大陸棚が存在しない。したがって、アが正解となる。

海底地形はセンター試験の頃から頻出。境界や海溝などの位置はある程度覚えておいた方がよい。

問2

土砂供給や海面変動などの影響を受けて、河口には特徴的な地形がつくられることがある。次の図2中のAとBは、ヨーロッパの二つの河川の主な河道を 示したものであり、後の表1中のカとキは、河川AとBのいずれかにおける年平均流量と河道の標高の割合*を示したものである。また、後の文xとyは、図2中の河川AとBのいずれかにおける河口にみられる地形の特徴について述 べたものである。河川Bに該当する記号と文との正しい組合せを、後の①~④のうちから一つ選べ。 
*それぞれの河川の主な河道の長さを 100% とした場合の値。

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2022年 共通試験 1-2

解答は②

ヨーロッパの地形と気候を考える。ヨーロッパには高い山地は非常に少ない。そのなかで高くて有名なものはアルプス山脈。イタリア半島の根本に位置するので、B(ポー川)の上流がこれにあたる。よって、記号はAがキ、Bがカとなる。

B(ポー川)は上流が急峻な山地であり、浸食・運搬・堆積作用が強くなる。よって、河口部には三角州ができる。A(セーヌ川)はその逆で堆積作用が働かないのでエスチュアリーが形成される。

問3

地形や気候の影響を受けて、世界の大河川の流域には様々な植生がみられる。次の図3中のE~Hは、チベット高原に源流をもついくつかの河川の流域と主な河道を示したものである。また、後の表2は、図3中のE~Hのいずれかにおける、流域面積全体に占めるいくつかの植生などの面積割合を示したものである。Gに該当するものを、表2中の1~4のうちから一つ選べ。

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2022年 共通試験 1-3

正解 ②

まず、裸地の割合を見ると、③と④に多い。裸地は岩や砂でできた土地ということなので、当然裁く。ということはこの2つは外来河川(湿潤地帯を源流とし、乾燥地帯に流れ込む川)であることがわかる。四大河文明をつくりだした川(ナイル川・ティグリス・ユーフラテス川・インダス川・黄河)はすべて外来河川であることは覚えよう。すると、この2つはE(インダス川)とF(黄河)であることがわかる。ちなみに、インダス川流域のほうが裸地の割合が高いので、③がE,④がFとなる。

次に、H(メコン川)は熱帯地方を流れるので、熱帯林(=常緑広葉樹林)の割合が高い。したがって、①。残ったG(長江)は②となる。

問4

次の図4は、オーストラリアにおける1月の気温、1月の降水量、7月の気温、7月の降水量のいずれかを等値線で示したものである。図4中のPとQは 気温と降水量のいずれか、サとシは1月と7月のいずれかである。1月の気温 に該当するものを、図4中の①~④のうちから一つ選べ。

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2022年 共通試験 1-4

正解は①

まず、降水量と気温について確定させる。具体的な数値が書いていないので難しそうだが、原理がわかっていればそんなに難しくない。しっかりと考える。

①をみると、内陸部に「+」がついている。内陸部で高い値がでるということだが、オーストラリア内陸で降水量が多くなることはない。オーストラリアの内陸はB気候である。次に、①と③をくらべると、③は北が+、南がーになっている。オーストラリアは南半球の国なのでこれは不自然ではない。ところが①は内陸部が+になっている。ここはB気候(おそらく砂漠)である。日較差・年較差ともに沿岸部より大きくなるわけだから、夏になると非常に高温になり、オーストラリア北部よりも気温が高くなるということ。つまり、①が夏・③が冬ということである。

最後に、オーストラリアは南半球にあるので、1月は夏。つまり、①が正解になる。

問5

次の図5は、アフリカを5地域に区分がして示したものである。また、表3は、この5地域について、1990 年から 2019 年の期間における地震、火山噴火、熱帯低気圧による自然災害の発生数**を集計したものであり、ターツは、北部、西部、東部のいずれかである。地域とターツとの正しい組合せを,後の ①~④のうちから一つ選べ。
*マダガスカル以外の島嶼国を除く。
**死者10名以上,被災者100 名以上,非常事態宣言の発令,国際援助の要請のいずれかの状況をもたらした自然災害の報告数の合計。

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2022年 共通試験 1-5

正解は②

わかりやすいのは東部。アフリカ大地溝帯があり、これにそって火山がある。2年生の「プレートテクトニクス(広がる境界)」のページに動画を載せておいた。したがって、火山の噴火が多いチが東部になる。また、この地域にはインド洋で発生したサイクロンが被害を及ぼす。次に北部。ここにはアトラス山脈があり地震が多いはず。したがって、タが北部になる。残ったツが西部。砂漠が広がる地域でこの表のような災害は少ない。

参考:プレートテクトニクス(広がる境界)

問6

自然災害の種類は、地域や季節によって大きく異なる。次の図6は、日本における土砂災害*と雪崩による被害の発生状況を時期ごとに示したものであり、 マ~ムは、3~5月、6~8月、9~11月のいずれかである。時期とマ~ムとの正しい組合せを、後の①~⑥のうちから一つ選べ。
*崖崩れ、地すべり、土石流。

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2022年 共通試験 1-6

正解は⑤

まず、ムでは本州に雪崩が散見される。春になって雪が解けてくる時期に発生しているので、これが3~5月。次にマでは土砂災害が多く発生している。2021年7月に熱海で土砂災害が発生している(LINK:2021年時事問題 多発する自然災害)が、これを思い出せればよい。よって、6~8月がマ。のこったミが9~11月。ミの図をみるとこの時期には北海道の北の方では雪崩がすでに起こっていることがわかる。おそらく雪解けではなく、積雪量が多すぎるための雪崩。これは、12~2月の図にもみられる。

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