2022年 共通試験 地理B 第4問

問題演習

テンアメリカに関する次の問い(A・B)に答えよ。(配点20) 

A ラテンアメリカの自然と社会に関する次の問い(問1~4)に答えよ。

問1

次の図1は、 ラテンアメリカの二つの河川の流域と主な河道を示したものであり、地点DとEは、流量観測地点を示したものである。また、図2中のアとイは図1中のDとEのいずれかの地点における月平均流量の年変化*を示したものである。図1と図2を説明した文章中の空欄aとbに当てはまる記号と語句との正しい組合せを、後の1~4のうちから一つ選べ。
*各月の平均流量の合計を100 % とした。

河川の流量とその季節変化は、流域の気候の影響を受けている。地点Dの月平均流量の年変化を示す図は( a )となる。地点DとEを流れる河川の年平均流量には10倍以上の差があり、地点Eを流れる河川の年平均流量は、地点Dを流れる河川よりも( b )。 

98
2022年 共通試験 4-1

正解は②

Dはオリノコ川。ベネズエラ等を流れる川。周囲はAw気候。ということは、夏の雨期と冬の乾期が明確になる気候である。赤道の位置を確認すると、ここは北半球になる。
Eはサンフランシスコ川。南米で4番目に長い川でブラジル国内のみを流れているという特色がある。この川は台地上を流れており、気候はBS気候になる。BSとAWは似ているが違う点は木が生えているか。AWは雨期がありアカシアやバオバブなどの疎林が生る。それに対してBSは乾燥気候であり樹木は見られない。そして、南半球に位置するので日本とは四季が逆転している。
以上のことを踏まえて考えると、夏と冬の流量の変化が大きいほうがDであるといえる。これはアが当てはまる。
また、流量もAW地域のほうがBS地域より大きくなるはずである。よって、EはDより「少ない」が正解となる。

2つの図で気候の図を確認してほしい。そして、サンフランシスコ川流域が砂漠化が進行している地域であることも確認してほしい。

サンフランシスコ川は気候変動と繰り返される干ばつによって水源が失われてしまった川として知られる。もちろん、流域から集まる水によって川自体がなくなるということはないが、規模が小さくなり漁業などに打撃を与えている。また、流域での取水量の増加によっても川の水量は少なくなっている。この流域に広がる生態系をカーティンガとよぶが、この生態系も失われつつある。

問2

各国の電力の供給源は、経済力や得られる資源などにより異なる。次の図3は、ラテンアメリカのいくつかの国におけるエネルギー源別の発電量の割合を示したものであり、凡例J~Lは、火力、再生可能エネルギー*、水力のいずれかである。エネルギー源とJ~Lとの正しい組合せを、後の①~④のうちから一つ選べ。
*太陽光、地熱、風力などを含み、水力を除く。

63
2022年 共通試験 4-2

正解は②

特色のある国を覚えておけば解答できる。まず、火力についてはベネズエラが原油生産国であることを思い出せばよい。ベネズエラはOPECにも加盟しており、確認埋蔵量も多い。ブラジルはアマゾン川があり、水力発電がさかん。再生可能エネルギーで目立つのはコスタリカ。積極的に再生可能エネルギーの開発を進めている国である。また、火力については多くの国でさかんである点からも推測できる。

問3

次の図4は、ブラジルの農産物の輸出額と、輸出総額に占める農産物の割合の推移を示したものであり、後の図5は、1971年と2019年におけるブラジルの農産物の輸出品目の内訳を示したものである。図4と図5から読み取れることがらとその背景について述べた文章中の下線部①~④のうちから、適当でないものを一つ選べ。

ブラジルでは農産物が重要な外貨獲得源であり、1970年代初頭の農産物の輸出は、①大土地所有制を背景とした商品作物の生産に支えられていた。1990年代にかけては、②工業化が進展して輸出に占める農産物の割合は低下した。2000年代には、③農業が輸出指向型産業の性格を強めていった。1971 年と比較すると、2019年には穀物や肉類の輸出額が増加するとともに、④コーヒー豆の輸出額は減少し、モノカルチャー経済からの脱却が進んでいる。

49
2022年 共通試験 4-3

正解は④

今年の問題では割合と量を理解しているかという問題が数問出ている。これもその例。④で「コーヒーの輸出額が減少」とあるが、減少したのは割合。金額を考えると、2019年は総額は450億ドルを超え、そのうち目算であるが7%程度がコーヒー豆になっている。450億の7%とすると、30億ドルを超える金額になる。1971年は全体でも30億ドルにいかないので、輸出額が減少しているというのは間違いであるとわかる。

 問4

次の図6は、ラテンアメリカのいくつかの国における、GNI(国民総所得)に占める所得上位10%層の所得の割合と、1人当たりGNI を示したものであり、カ~クは、アルゼンチン、ブラジル、ボリビアのいずれかである。国名とカ~クとの正しい組合せを、後の①~④のうちから一つ選べ。

51
2022年 共通試験 4-4

正解は①

まず、ボリビアは内陸国であり、3つの中で最も貧しい国である。したがって一人あたりGNIが小さい国を選べばよい。クがボリビア。アルゼンチンとブラジルが難しい。ブラジルはムラートと呼ばれる混血も多く、貧富の差が大きい社会である。一方アルゼンチンは白人が人口の9割を占め、貧富の差は比較的少ない。貧富の差を表すのが所得上位10%の所得の割合である。これが高ければ当然その分下位90%の所得が小さくなるのだから、貧富の差が大きいということになる。すると、ブラジルのほうが貧富の差が大きいのだから、キになる。

B 南太平洋の東部と西部に位置するチリとニュージーランドに関する次の問い (問5~6)に答えよ。

問5

次の図7に示したチリとニュージーランドには、自然条件において共通する点と異なる点がある。文は、両国の自然条件の特徴を述べたものである。これらのうち、チリのみに当てはまるものと、ニュージーランドのみに当てはまるものを、①~④のうちから一つずつ選べ。

① 寒流の影響で、1年を通して降雨のほとんどない地域がある。
② 首都は、偏西風の影響を受けて年中湿潤な地域に位置している。
③ フィヨルドなどの氷河地形や、山岳氷河がみられる地域がある。
④ 変動帯に位置しているため、国内に火山があり、地震が頻発する。

49
2022 共通試験 4-5 チリ

チリのみに当てはまるものを選ぶ。

正解は①

チリの沖合にはペルー海流という寒流が流れ、アタカマ砂漠ができる。寒流が作り出す海岸砂漠で有名。海岸砂漠と雨陰砂漠の区別を確実にしよう。
③・④はペルーに当てはまるが、ニュージーランドにも当てはまる。両国とも氷河を持ち、環太平洋火山帯に属している。

45
2022年 共通試験 4-5NZ

ニュージーランドに当てはまるものを選ぶ。

正解は②

ニュージーランドは全体としてCfb気候。つまり、偏西風の影響が強いということ。ペルーの首都サンチアゴは南緯33度付近に位置する。大陸東岸で緯度30~40度ということはCs気候である。CfbやCsの分布は区別できるようにしよう。
③・④はニュー時ランドに当てはまるが、ペルーにも当てはまる。両国とも氷河を持ち、環太平洋火山帯に属している。

問6

チリとニュージーランドでは、貿易を通じた他地域との結びつきが変化している。次の表1は、チリとニュージーランドの輸出総額に占める鉱産物の割合と、1985 年と2018年における輸出総額の地域別割合を示したものである。表1中のサとシはチリとニュージーランドのいずれか、XとYは北アメリカ*と西ヨーロッパ**のいずれかである。チリと西ヨーロッパとの正しい組合せを、後の①~④のうちから一つ選べ。 
* メキシコを含まない。
**アイルランド、イギリス、イタリア、オーストリア、オランダ、スイス、スペイ ン、ドイツ(1985 年は西ドイツと東ドイツとする)、フランス、ベルギー、ポルトガル、ルクセンブルク。

44
2022年 共通試験 4-6

まず、チリは銅鉱の産出が世界一であることから、鉱山資源の湯筒が多いサがチリとわかる。
次にXとYを比べると、チリもニュージーランドも85年と18年を比べるとXよりYのほうが落ち込みが大きい。チリもニュージーランドももとはヨーロッパの植民地であった。その影響は大きく弱まっているからYが西ヨーロッパとわかる。

 

コメント