2-23 ヨーロッパの農業

地理2

ヨーロッパの農牧業の特色

  • 有畜農業 … 「家畜なくして農業なし」
  • 高い生産性 = 土地生産性も労働生産性も高い
  • 畑作中心の輪作

発展

古代 = (1      )

冬耕地では温暖湿潤な気候を利用して冬小麦を栽培。夏は高温乾燥のため耕作はできない。休耕地ではヤギや羊を放牧。夏は移牧も行われていた。のち硬葉樹の栽培が始まり地中海式農業に発展。

中世 = (2      )→ 近代化・商業化、

西岸海洋性気候である北西ヨーロッパでは夏季も耕作が可能なため始まる。夏耕地では春小麦、ライ麦、エン麦、大麦などを栽培。休耕地では牛や豚を飼育。短冊状の畑(犂で牛馬が耕すのに便利)

近世 = フランドル農法・(3      )、産業革命によって安価な穀物の輸入開始

根菜(カブ)の栽培を導入することで冬季に家畜の飼育が可能になった。休耕地では大豆やクローバーなどマメ科の植物を栽培。休耕地がなくなる。イギリスのノーフォーク州で始まった。

→ 商業的混合農業、酪農、園芸農業に分化し現代にいたる

二圃式農業から現在の地中海式農業、ノーフォーク農法から園芸農業・酪農・混合農業が発達。

(1) 商業的混合農業

家畜の飼育と作物栽培が有機的に結合。輪作、化学肥料の使用、機械化など合理的。生産性も高い。

混合農業地域

ドイツ … 小麦ジャガイモ、てんさいを栽培、肉牛、豚などを飼育。(甜菜は砂糖を絞ったかすを飼料にする)

フランス … 小麦ブドウ(収入は家畜より小麦・ブドウのほうが多い)、小麦はフランス平原が中心。ブドウは(4     )メドック地方ラングドッグ地方が有名。

イタリア … Cfaである(5      )流域(パダノ=ヴェネダ平野)で行われている。小麦・とうもろこし・・肉牛

アメリカ合衆国 … (6      )(プレーリーからグレートプレーンズ)、北部は春小麦、南部は冬小麦

                       (政府が支持価格を設定し、生産を援助)、(7      )・イリノイ州中心

アルゼンチン … (8      )= ラプラタ川流域。黒色土の広がる肥沃な草原

東欧・バルカン半島 … 社会主義体制の下、集団化と国有化。But 社会主義体制崩壊によって変化

(2) 酪農

乳牛を飼育し、牛乳・乳製品の生産を行う(デンマーク = ホルシュタイン種、イギリス = ジャージー種)

特色

  • 自然条件:冷涼な気候と痩せた土壌(氷河の末端部)、穀物栽培には不適
  • 発達:大都市の近郊で発達、冷凍技術やクリームセパレータの発明でさらに発達
  • 科学的な飼育管理:品種改良、設備、濃厚飼料
  • 大都市近郊では生乳、遠郊ではチーズなどを生産する酪農が発達

酪農地域

デンマーク … 家族労働、規模は10~20ha、10~20頭の乳牛を飼育、合理的・多角的な経営、共同組合

オランダ … 干拓地 = (9      )を中心に酪農・牛乳・チーズ・バター

スイス … (10      )= 家畜を季節的に気象条件の異なる地域に移動させる牧畜。夏は高地の牧場(アルプ)で飼育、冬はふもとの村で舎飼い、酪製品をつくる山小屋 = シャレ-

北アメリカ … 五大湖沿岸からセントローレンス川流域

オーストラリアの都市近郊やニュージーランド

(3) 園芸農業

都市への出荷を目的として、野菜・果物・花卉・庭木などの栽培を重点的に行う集約的農業

特色:集約的経営 … 技術・資本・労働力の投下、多毛作、多肥料、高い生産性

(11      )… 都市に近いところで栽培する ⇔ 遠郊農業

(12      )… ビニルハウスなどを使用(早期出荷 OR 晩期出荷) ⇔ 露地栽培

  • (13      )… 暖かい気候を利用して、早い時期に出荷する

例)宮崎平野や高知平野のなす・きゅうり・ピーマン

※ (14      )… 冷涼な気候を利用して、遅い時期に出荷する

            例)野辺山(長野県・八ヶ岳山麓)や嬬恋(群馬県・浅間山山麓)のキャベツ・レタス・白菜

出荷時期をずらすことで、出荷量が少なく高値の時期に出荷することができる。

(15      )… 都市から遠いところで栽培し、トラックやフェリーなどを利用して輸送

(4)地中海式農業

Cs気候の地域で行われる

夏に高温少雨になるため、樹木を栽培(オレンジ・ブドウ・(16      )・オリーブ等) = 乾燥に強い

冬は雨が多いので、(17      )を栽培(温暖なので冬小麦もOK)

ヤギ・羊などの家畜も飼育している。

  • 樹木からとれるものは商品作物となり、小麦などは自給的作物となる

有名な場所

地中海沿岸 … スペイン、イタリア、フランス南部等。小規模農業が多い。小麦・オリーブ・ブドウ・柑橘類

アメリカ … (18      )中心(アメリカ最大の農業州)、小規模農園が多く従業員はメキシコなどからの移民が多い

南アフリカ共和国 … 白人農場下で商品作物の栽培が近年増加中

                         山の斜面でブドウの栽培がさかん、ほとんどはワインに加工される

チリ … 北半球の季節差を利用したリンゴ・ブドウ・野菜等の栽培、輸出され外貨獲得に貢献している

(5) EUの共通農業政策

アメリカの(19      )による安価な農作物の大量生産に対抗する

1968 農業共同市場

  • 主要農作物に統一価格を導入

支持価格制度 … 最低価格を保証し、農家が安心して農業をできるようにする。

                     (もし、最低価格以下になった場合国が補助をする)

輸入(20      )制度 … 安価な輸入農産物に課税し、価格を引き上げる

輸出補助金 … 安価な農産物の輸出を増やす

  • これらの政策によって、EUの財政負担は増大している。
  • ということは、農業が盛んな国の農民はたくさんの補助を受けているということ 

→ フランスの農民はEUの共通農業政策の見直しに反対する

ヨーロッパ農業の分布

基本は以下のようにまとめる

1.混合農業

場所 … アルプス山脈以北

内容 … 穀物栽培と家畜飼育を組み合わせる

作物 … 穀物(小麦・ライ麦・じゃがいも)+ 家畜の栽培

2.地中海式農業

場所 … アルプス山脈より南

内容 … 夏に乾燥に強い照葉樹を育てる

作物 … ぶどう・オリーブ・オレンジ・コルク樫

3.酪農

場所 … デンマーク・オランダ

内容 … 乳牛を飼育し乳製品を出荷

作物 … 生乳、バーター、チーズ、ヨーグルト

次に国ごとにまとめる

フランス … EU最大の農業国、小麦の栽培(北部の混合農業)やぶどうの栽培(南部の地中海式農業)が有名。シャンパーニュ、メドック、ラングドックも覚えよう。

イタリア、スペイン、ポルトガル … 地中海式農業、イタリアはオリーブやぶどうは世界有数の産出国。ポルトガルのコルク樫も出題されている。気候はCs(地中海性気候)

オランダ … 低湿地で干拓地(ポルダー)が有名。園芸農業がさかん。酪農ではチーズなどを生産。

イギリス … 商業的混合農業と酪農がさかん。気候はCfb(西岸海洋性気候)

アルプス山脈 … 国ではないが、イタリアやスイスなど。牧畜がさかん。

 有名な銘柄の産品も多く生産されている。例えば、シャンパンはシャンパーニュ地方で作られるスパークリングワインのこと。北にいくと寒くなってぶどうがつくれなくなるため、りんごからお酒を造る。ここでもカルバドスというノルマンディー地方で作られるお酒がある。これらはこの地方以外で作っても、この名を名乗ってはいけない。

 有名な銘柄になると、当然品質管理が必要。産地が狭い範囲であればあるほど品質管理がしやすくなる。こうして有名な銘柄、つまり「ブランド」が成立する。

 カマンベールチーズももとはフランス北部のカマンベールという村で作られていたもの。権利の関係で名前を独占することはできていないが、現在も産地として有名である。

ヨーロッパのどこでどのような農業がさかんなのか、白地図にまとめてみよう!

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ヨーロッパの農業1

1 / 10

大都市近郊にみられる園芸農業で,葉菜類などの栽培を多毛作で行なう農業を何というか。

2 / 10

中世のヨーロッパで行なわれていた農法で,地力保持のため,耕地を夏作地・冬作地・休閑地に3区分し,これを年毎に交代させて耕作する農業を何というか。

3 / 10

イギリスではじまった、穀物と根菜・豆類の栽培を組み合わせて休耕地をなくした農法をなんというか。

4 / 10

小麦と牧牛を中心とする商業的混合農業がみられ,シャンペンの名で知られるワインの主産地でもあるパリ盆地東部の地方名を何というか。

5 / 10

輪作によって米の単位面積あたりの収量が高いイタリアの米作地域は,何という河川の流域にみられるか。

6 / 10

スイスなどにみられるもので,定住農民が夏は高地の牧場,冬は平地の牧場へとやぎや乳牛を移動させながら行なう牧畜形態を何というか。

7 / 10

主穀と飼料作物を栽培し,肉用家畜の飼育に力を入れて,畜産物の販売を目的とする農業を何というか。

8 / 10

夏高温乾燥,冬温暖湿潤な気候を利用し,耐乾性の強い樹木作物と自給用の穀物を栽培して,やぎや羊などを飼育する農業を何というか。

9 / 10

南部の半島地方に比べ,生産性の高い商業的混合農業地域としての特色をもつポー川流域の平野名を答えよ。

10 / 10

ヨーロッパの地中海沿岸などで古くから行なわれていた農法で,耕地を2つに分け,耕作と休耕を毎年交互に繰り返す農業を何というか。

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ヨーロッパの農業2

1 / 6

北部は近代的経営による混合農業,南部は大土地所有制に基づく地中海式農業と,一国内で対照的な農業形態がみられる国はどこか。

2 / 6

国土の大部分が低平でやせた土壌からなり,農業協同組合制度を活用して,酪農に養豚・養鶏を結びつけた独特の農業経営を発達させた国はどこか。

3 / 6

世界で最も早く産業革命を行ない,海外からの農産物の自由な流通を図った結果,酪農や園芸農業への専門化が進み,現在でも1農家あたりの平均経営面積が西ヨーロッパ有数の国はどこか。

4 / 6

ヨーロッパ最大の農業国で,農産物の輸出も多く,家族経営を主体とした自作農中心の国はどこか。

5 / 6

ライ麦・じゃがいも・てんさいの栽培をもとに,豚や肉牛を飼育する混合農業を主体とし,南部ではビール用大麦とホップ,西部の河川流域ではぶどうの栽培が盛んな国はどこか。

6 / 6

オランダの代表的な酪農地帯となっている地域で,低湿地や浅海を干拓造成した土地を何というか。

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