18 発展する交通

新幹線

新幹線の特色

新幹線は、日本が誇る高速鉄道システムです。新幹線の特色はいくつかあります。まず、高速性です。時速200km以上(場所によっては300km以上)で走行できます。その高速性のため、専用線で運行されます。在来線とは別の専用の線路を使用します。また、新幹線は自動列車制御装置(ATC)などの最新の安全システムを採用しており、圧倒的な安全性を誇ります。

新幹線は大量輸送が可能です。例えば、2018年には東海道新幹線の1日の利用客数は平均47万人にも及びます。日本は面積はそれほど広くありませんので、飛行機による輸送より新幹線による輸送が便利であることがわかります。新幹線は安全性とともに定時性も素晴らしいものがあります。天候の影響を受けにくく、高い定時運行率を誇ります。

日本の新幹線(開通順)

東海道新幹線(1964年開業)

始発駅:東京駅、終点駅:●●●

山陽新幹線(1972年部分開業、1975年全線開業)

始発駅:新大阪駅、終点駅:●●●

東北新幹線(1982年部分開業)

始発駅:大宮駅、終点駅:●●●
1985年:上野駅まで延伸
1991年:東京駅まで延伸
2010年:●●●駅まで延伸

上越新幹線(1982年開業)

始発駅:大宮駅、終点駅:●●●
1985年:上野駅まで延伸
1991年:東京駅まで延伸

北陸新幹線(1997年部分開業)

始発駅:高崎駅、終点駅:●●●駅まで延伸

九州新幹線(2004年部分開業、2011年全線開業)

始発駅:博多駅、終点駅:●●●

北海道新幹線(2016年開業)

始発駅:新青森駅、終点駅:●●●

西九州新幹線(2022年開業)

始発駅:武雄温泉駅、終点駅:●●●

西九州新幹線について

西九州新幹線が佐賀県を通過しない理由は、佐賀県が新幹線の延伸に反対しているためです。当初はフリーゲージトレインの導入が計画されていましたが、その開発が頓挫したことで、佐賀県内に新たに新幹線の線路を敷設する必要が生じました。これにより、佐賀県の財政負担が増加することや、並行在来線の経営問題などが懸念されています。

将来の延伸計画

北陸新幹線

現在、金沢駅まで開業していますが、将来的には新大阪駅まで延伸する計画があります。ただし、具体的なルートや駅の位置については、まだ検討中です。

北海道新幹線

現在、新函館北斗駅まで開業していますが、将来的には札幌駅まで延伸する計画があります。当初は2030年度末の開業を目指していましたが、工事の遅れにより延期される見通しとなっています。

これらの延伸計画が実現すれば、日本の新幹線ネットワークはさらに充実し、より多くの人々が高速鉄道の恩恵を受けられるようになるでしょう。

リニア中央新幹線

リニア中央新幹線とは

リニア中央新幹線は、超電導磁気浮上方式を使った新しい高速鉄道です。この技術により、列車は線路から約10cm浮いて走行し、最高速度は時速505kmに達します。これは現在の新幹線の約2倍の速さです。

ルートと建設計画

リニア中央新幹線は、東京都から大阪市までの約438kmを結ぶ計画です。主な経由地は以下の通りです

  1. 東京(品川駅)
  2. 神奈川県(橋本駅)
  3. 山梨県(甲府市附近)
  4. 長野県(飯田市)
  5. 岐阜県(中津川市)
  6. 愛知県(名古屋市)
  7. 奈良県(奈良市附近)
  8. 大阪(新大阪駅)

建設は2段階で行われる予定です:

  1. 東京-●●●間:2034年以降に開業予定
  2. 名古屋-●●●間:2037年から2045年の間に開業予定8

総工事費は約9兆300億円と見積もられています。

建設計画の現状

現在、東京(品川駅)から名古屋駅までの区間で工事が進められています。しかし、いくつかの課題に直面しています。

まず、静岡県での工事です。大井川の水量など環境への影響をめぐる問題で工事が遅れています。

この結果、開業時期の遅れが生じています。当初2027年に予定されていた東京-名古屋間の開業が2034年以降に延期されました。一方で、名古屋-大阪間の開業を最大8年前倒しする計画も検討されています。

リニア中央新幹線が完成すると、東京・名古屋間を約40分、東京・大阪間を約1時間で結ぶことができるようになり、日本の新しい大動脈として期待されています。

高速鉄道開通の影響

新幹線などの高速鉄道が開通することのメリットとデメリットについて説明します。

【メリット】

移動時間の短縮

遠距離の移動が短時間で可能になります。

経済活動の活性化

ビジネスの機会が増え、観光客も増加します。

地域間の交流促進

遠隔地との往来が容易になり、文化交流が活発になります。

環境への配慮

飛行機や自動車と比べて、一人あたりのCO2排出量が少ないです。

安全性

事故率が低く、天候の影響も受けにくいです。安全に早く移動できるというのは最大のメリットです。

【デメリット】

ストロー現象

これは、高速交通網の整備により、逆に地方の経済が衰退する現象です。例えば、地方の人々が大都市で買い物をするようになり、地元の商店が衰退する可能性があります。また、企業の支社や工場が大都市に集中し、地方の雇用が減少する恐れもあります。

建設コストと維持費

高速鉄道の建設には莫大な費用がかかります。完成後も、保守や運営に多額の費用が必要です。これは鉄道の弱点であると言えます。

環境への影響

建設時に自然環境を破壊する可能性があります。騒音や振動の問題も発生する可能性があります。

並行在来線の経営問題

新幹線と並行して走る在来線の利用者が減少し、経営が悪化する可能性があります。

地域格差の拡大

新幹線が停車する都市と停車しない都市の間で、発展の差が広がる可能性があります。

災害時のリスク

地震や豪雨などの自然災害時に、広範囲で運行停止になる可能性があります。

チケット価格

高速鉄道は一般的に運賃が高く、利用できる人が限られる可能性があります。

これらのメリットとデメリットを考慮しながら、高速鉄道の整備を進めていくことが重要です。地域の特性に合わせた対策を講じ、デメリットを最小限に抑えつつ、メリットを最大限に活かすことが求められています。

LRTの成功

LRTとは

LRT(Light Rail Transit)は、●●●を目指す都市において、新しい交通システムとして注目を集めています。日本では富山市と宇都宮市が先進的な事例として知られており、両市のLRT導入は都市構造の再編と持続可能な発展に大きな役割を果たしています。

富山市のLRT

富山市は2006年に日本初のLRTを導入しました。人口減少と高齢化への対応、そして持続可能な都市構造の実現を目指し、赤字だったJR富山港線をLRT化しました。富山市は「上下分離方式」を採用し、行政が軌道整備を担当することで、民間事業者の負担を軽減しました。富山市のLRT成功の鍵は、公共交通を軸としたコンパクトシティ戦略にあります。「お団子と串」の概念を用いて、公共交通沿線に居住、商業、業務などの都市機能を集約し、効率的な都市構造を目指しました。官民一体となった利用促進策も功を奏し、LRT導入後は利用者数が平日2.1倍、休日3.6倍に増加しました。高齢者の外出機会が増え、健康増進にも寄与しています。また、沿線の住宅着工数も増加し、都市の活性化に貢献しています。現在、富山市では富山駅を挟んで南北のLRTを接続する計画が進行中で、さらなる利便性向上が期待されています。

お団子と串

「お団子と串」は、富山市が目指すコンパクトなまちづくりを表現した言葉です。中学生の皆さんに分かりやすく説明しましょう。

「お団子」とは、人々が生活する場所のことを指します。具体的には、住宅や店、病院、学校などがまとまっている地域のことです。これらの施設が集まっているので、歩いて生活できる便利な場所になります。地方都市ではどうしても、「お団子」が分散してしまいます。これを結ぶことができれば非常に便利になり、人口対策なども行うことができます。

「串」は、これらの「お団子」をつなぐ公共交通機関のことです。例えば、電車やバス、路面電車(LRT)などがこれにあたります。

富山市では、このような「お団子と串」の構造を作ることで、車に頼りすぎない、歩いて暮らせるまちづくりを目指しています。「お団子」の中では徒歩で生活でき、別の「お団子」に行きたいときは「串」である公共交通機関を使います。

宇都宮市のLRT

一方、宇都宮市は2023年8月に新設LRTを開業させました。「ネットワーク型コンパクトシティ」構想の実現と東西方向の公共交通強化を目的としています。2015年に運営会社「宇都宮ライトレール株式会社」を設立し、宇都宮市と芳賀町が主体となって軌道整備を進めました。全線14.6km、19停留所を有する宇都宮LRTは、100%再生可能エネルギーによる運行を実現し、環境に配慮したシステムとなっています。また、トランジットセンターを設置し、他の交通機関との連携を強化しています。開業後、沿線道路の交通量減少が見られ、特に土日祝日の利用者数が当初想定の3倍に達するなど、早くも成果が表れています。もともと宇都宮市は東西を結ぶ交通が自動車しかなく、朝夕の渋滞が発生していました。これが解消され、郊外にある工場の労働者が今まで自動車通勤だったものがLRTによる通勤に切り替えるなど環境問題対策にもなっています。もちろん、この背景にはLRTでの通勤に補助金を出すなどの工夫も見られます。宇都宮市では今後、JR宇都宮駅西側への約5km延伸を計画しており、2030年代前半の開業を目指しています。さらに、将来的には大谷観光地まで延伸する構想もあり、観光振興にも寄与することが期待されています。

LRTの今後

富山市と宇都宮市のLRT導入は、公共交通を軸としたコンパクトシティ実現の成功例として、全国から注目を集めています。利用者の増加や沿線開発の活性化など、具体的な成果が表れつつあり、今後の延伸計画によってさらなる効果が期待されています。これらの事例は、持続可能な都市づくりにおけるLRTの有効性を示すとともに、公共交通を中心とした都市構造の再編が地域の活性化につながることを実証しています。

新しいモビリティ、電動キックボード

電動キックボードの新ルール

電動キックボードは、新しい交通手段として近年急速に注目を集めています。2024年5月には、この新しいモビリティに関して重要な変化がありました。特定小型原動機付自転車(特定小型原付)に該当する電動キックボードが、16歳以上であれば運転免許不要で利用可能となったのです。これにより、より多くの人々が電動キックボードを気軽に利用できるようになりました。

なぜ注目される?

電動キックボードが注目される理由はいくつかあります。まず、環境への配慮が挙げられます。電動キックボードは排気ガスを出さないため、地球温暖化対策に貢献する乗り物として評価されています。また、都市部での短距離移動に適しているため、交通渋滞の緩和にも役立つと期待されています。観光客にとっても、簡単で便利な移動手段となっており、街の観光をより楽しくする可能性があります。さらに、電車やバスの最寄り駅から目的地までの短い距離の移動手段として、いわゆる「ラストワンマイル問題」の解決にも貢献すると考えられています。

電動キックボード普及の問題点

しかし、電動キックボードの普及には課題もあります。最も大きな問題は安全性です。小さなタイヤや立ち乗りの構造から、転倒や事故のリスクが高いと指摘されています。また、免許不要で乗れるようになったことで、交通ルールを十分に理解していない人が利用する可能性が高まっています。特に心配なのは飲酒運転の問題です。2024年前半の事故の17%が飲酒運転によるものだったという報告があり、深刻な問題となっています。

歩行者との接触リスクも懸念されています。電動キックボードは一部の歩道での走行が可能になりましたが、これにより歩行者との接触事故の危険性が高まっています。また、ヘルメットの着用が努力義務にとどまっていることも問題視されています。頭部を保護するヘルメットの着用は安全のために重要ですが、義務化されていないため、着用しない利用者も多いのが現状です。

まとめ

電動キックボードは、私たちの街の移動をより便利で環境にやさしいものにする可能性を秘めています。しかし、それを実現するためには、安全性の確保や適切な利用ルールの周知が欠かせません。例えば、学校や地域で交通安全教育を行ったり、ヘルメット着用を呼びかけたりするなど、みんなで協力して安全な利用環境を作っていく必要があります。電動キックボードが私たちの生活をより豊かにする交通手段となるか、それとも新たな問題を引き起こすものになるかは、これからの私たちの取り組み次第なのです。

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24-18 交通の発達

1 / 10

コンパクトシティとはどのような都市ですか?

2 / 10

新幹線の特色は何ですか?

3 / 10

西九州新幹線が佐賀県を通過しない理由は何ですか?

4 / 10

高速鉄道開通のメリットは何ですか?

5 / 10

東北新幹線はどこまで延伸しましたか?

6 / 10

ストロー現象とはどのような現象ですか?

7 / 10

リニア中央新幹線はどこからどこまでを結ぶ計画ですか?

8 / 10

LRTとは何ですか?

9 / 10

富山市のLRT導入後、利用者数はどのように変化しましたか?

10 / 10

北陸新幹線は将来どこまで延伸する計画がありますか?

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