インバウンドの増加
日本政府が2003年から始めた「ビジット・ジャパン」キャンペーンにより、訪日外国人観光客●●●が大幅に増加しました。2023年の訪日外国人数は約2,506万人で、コロナ禍前の2019年の約8割まで回復しています。2024年1-9月の累計では2,688万人を超え、過去最高だった2019年の3,188万人を上回るペースとなっています。
オーバーツーリズムの問題
しかし、観光客の急増により、様々な問題が発生しています。これを●●●と呼びます。具体的な問題として以下のようなものがあります。
・ 交通渋滞と公共交通機関の混雑
・ ゴミの増加と不法投棄
・ 騒音問題
・ 地域住民のプライバシー侵害
・ 自然環境や文化遺産の破壊
【具体例】
京都府
京都では、観光客の増加により交通渋滞が激しくなり、ゴミの増加や騒音問題が発生しています。特に桜や紅葉の季節には混雑が極端になります。また、タクシーがほとんど捕まらないなど、観光客にとっても、住民にとっても不便な状態が発生しています。
神奈川県鎌倉市
鎌倉高校前の踏切では、人気漫画の影響で多くの観光客が訪れ、写真撮影のために車道にはみ出すなど、交通の妨げになっています。
北海道美瑛町
美しい農村風景で有名な美瑛町では、写真撮影のために農地に無断で立ち入ったり、生活道路に違法駐車をしたりする観光客が問題になっています。
解決策
オーバーツーリズムの問題を解決するために、以下のような取り組みが行われています
まず、観光客の入場制限を導入します。また、混雑状況に応じた変動運賃の導入も導入が進んでいます。これらの取り組みによって観光客の分散化ができればオーバーツーリズムが解消されます。もちろん、インバウンドが増えること自体は経済的にも良いことですし、日本をさまざまな人に知ってもらう機会でもあります。外国人が特定の観光地に集中しないように、たくさんの魅力ある観光地を整備することも大切です。その時に特別な施設や自然だけでなく、日本文化の体験なども観光資源にすることが望まれます。
また、持続可能な観光の形として、以下のような概念が注目されています。
エコツーリズム
自然環境や歴史文化を体験しながら学び、それらの保全にも責任を持つ観光のあり方です。
グリーンツーリズム
農山漁村に滞在し、農漁業体験などを楽しみ、地域の人々と交流する観光スタイルです。
サスティナブルツーリズム
環境、経済、社会文化のすべての面で持続可能性を考慮した観光のあり方です。地域の特色を活かしつつ、環境を後世に残せるような観光の発展を目指します。
これらの取り組みにより、観光地の環境や文化を守りながら、地域経済の発展と観光客の満足度向上を両立させることが期待されています。皆さんも旅行する際は、地域の環境や文化を尊重し、責任ある観光を心がけましょう。
コンビニに幕をはる!? ~オーバーツーリズムの例~
山梨県富士河口湖町にあるコンビニエンスストア「ローソン河口湖駅前店」周辺で起きたオーバーツーリズムの事例について説明します。
事例の概要
このコンビニは、店舗の上に富士山が乗ったような写真が撮影できるスポットとして、SNSで外国人観光客の間で人気となりました。「日本らしい」景色として注目を集め、多くの観光客が訪れるようになりました。
問題点
観光客の急増により、以下のような問題が発生しました。コンビニ前の道路において危険な道路横断が多発しました。横断歩道でないところを外国人観光客が渡るため事故の危険性もありますし、渋滞も発生します。この渋滞は住民の日常生活に支障をきたすほどでした。外国人観光客によって歩道の混雑し、住民が生活のために通行すことも困難な時間もあったほどです。コンビニの駐車場ではゴミのポイ捨てが多発し、近隣の道路や住宅でも見られました。コンビニへの無断駐車も増加し、お客さんがコンビニに自動車を停められない事態が発生しました。これはコンビニの営業にも、利用するお客さんにも迷惑になってしまっています。その他にも騒音や住宅への無断侵入による地域住民のプライバシー侵害も発生しています。このように地域住民の生活に支障が出るほどの事態が発生してしまいました。
対策
富士河口湖町は様々な対策を講じましたが、状況が改善されなかったため、2024年5月に「最終手段」として以下の対策を実施しました。
・ 高さ2.5メートル、幅20メートルの黒い幕を設置し、富士山の景色を遮断
・ 歩道沿いに柵を設置し、危険な横断を防止
・ 横断歩道の色を白と緑に変更し、目立たせる工夫
効果と今後の見通し
黒い幕の設置後、観光客の数は約3割減少したと報告されています。しかし、完全な解決には至っていません。幕が透けて見えるため、一部の観光客は撮影を続けています。また、幕自体が新たな撮影対象になってしまっています。さらに、別の撮影スポットに観光客が移動しています。つまり問題が解決したわけでなく、同じ問題が別のところで発生しているわけです。地域住民からは、「幕の設置だけでは解決できない」「観光客にルールを理解してもらいたい」といった声が上がっていますが、同時に「外国人の人に来てもらえること自体は良いことだ」という声もあります。
その後、8月15日に台風7号の対策のため一時的に取り外されました。その後、大きな混乱が見られなかったため、試験的に幕を取り外したままの状態が続いています。
町の担当者は「このままマナーが改善されてほしい」と述べており、幕の再設置については今後の状況を見て判断するとしています1。2024年11月の時点で、町長は当面幕を再設置しない考えを示しています。
ただし、11月以降、雪化粧した富士山を目当てに再び観光客が集まり、道路横断などの危険行為が見られるようになりました。そのため、町は新たな対策として、2024年12月16日からコンビニ側の歩道沿いに6メートルにわたって高さ80センチの防護柵を設置する工事を行いました。
また、近くの横断歩道2か所の塗装を緑色と白色に変えて目立たせる方針も示されています。町は「今の時点で幕の再設置は考えていない」としています。
今後は、以下のような取り組みが必要とされています。① 観光客への啓発活動の強化、② 代替の撮影スポットの整備、③ 地域全体でのサステナブルツーリズムの推進です。
オーバーツーリズム対策は継続的な課題であり、地域住民と観光客の双方にとって望ましい解決策を模索していく必要があります。

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