日本とオリンピック
日本では何度かオリンピックの招致に成功しています。1940年に東京オリンピック招致に成功していましたが、1937年に日中戦争が勃発し、長期化したことから開催権を返上していました。戦後の混乱から復興を成し遂げた1964年にふたたび東京オリンピック招致に成功しました。この時はたくさんのメダルを獲得し、国民に勇気を与えました。また、オリンピック開幕に合わせて開通した東海道新幹線や、高速道路網が整備されたことや、現在でもつかわれている国立競技場など多くの建築物を残しました。このような後世に残した遺産のことを「レガシー」といいます。1964年の東京オリンピックは1969年の大阪万博と合わせて日本復興の象徴とされています。
1972年には札幌オリンピック、1998年には長野オリンピックと2回の冬季オリンピックも招致に成功しました。それぞれ、多くのメダルを取り盛り上がりを見せました。
東京2020
2020年の東京オリンピック招致に成功した日本は、準備を進めました。しかし、2019年末からのコロナ感染症の拡大によって1年間の延期を余儀なくされました。延期された1年間の間にも世界でも日本でも感染者の拡大は続きました。日本では繰り返し緊急事態宣言が発出され、世論調査ではオリンピックの中止・再延期を求める声が大きくなりました。コロナウイルス感染症が拡大する中で、聖火リレーも無観客や縮小を余儀なくされ、聖火ランナーを辞退する人もたくさんいました。
結局オリンピック・パラリンピックは無観客で開催されました。選手やスタッフも毎日PCR検査を受け、「バブル」と呼ばれる行動範囲規制のなかで行動することが求められました。オリンピック・パラリンピック自体で大規模な感染拡大は起こりませんでしたが、日本国内の感染状況は日に日に悪化していきました。
オリンピック・パラリンピックは私たちの生活にも大きな影響を与えました。オリンピック期間の首都高速道路は1000円上乗せされました。祝日も移動され、7月22日が海の日、開幕式当日である7月23日がスポーツの日、閉会式当日である8月8日（日曜日）が山の日、8月9日（月）が振替休日となりました。
開幕したオリンピック・パラリンピックでは日本人選手が大活躍をしました。金メダルは27、メダルも58を獲得し史上最多の獲得数でした。
オリンピックの理念
オリンピック・パラリンピックでは、準備段階での不祥事も多発しました。最大のものは森会長（当時）の女性蔑視発言です。また、開会式の演出家が女性の容姿を侮辱する発言をするということもありました。両者とも辞任に追い込まれました。オリンピック憲章には「人種、肌の色、性別、性的志向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく……（以下略）」とあります。この条文はここ20年で繰り返し改訂され、そのたびに詳しい文章になってきています。つまり、差別というものを許さないというのがオリンピックの精神です。開催する以上、そのようなことをもっと深く理解して準備をするべきだったといわれても仕方ありません。
オリンピックはスポーツの祭典です。スポーツとは皆が楽しむものでもあります。競技者でなく見ている人も楽しめるようにしていくことが大切でしょう。また、オリンピックは平和の祭典ともいわれます。世界が平和であるために何が必要なのかを考え、今後も素晴らしい大会を開いてほしいものです。
オリンピックの歴史
オリンピックは古代ギリシアで行われていました。たくさんのポリスとよばれる小さな国がありましたが、それらの国の住民はみな「自分たちはギリシア人である」と信じていました。このギリシア人たちがオリンピアというポリスに集まって行った競技会が古代オリンピック（オリンピアの祭典）です。ここでは、戦争をしている敵同士であっても一時休戦して参加していたようです。これが「オリンピックは平和の祭典」と呼ばれるもとになった精神です。
19世紀末、フランス人のクーベルタン男爵がオリンピックを復活させました。これが近代オリンピックです。第１回オリンピックはオリンピック発祥の地であるギリシアで行われました。その後も4年に1回オリンピックが開催されています。オリンピックはスポーツを通して国際交流を進めることが目的です。したがって戦争中など政治的な事情があってもオリンピックには両国が参加するという理想があります。しかし、実際には様々な政治的な事情によって参加しない国が出てくるなど、問題点も指摘されています。
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