改正国民投票法
日本国憲法は1946年に公布されて以来一回も改正されていません。憲法改正の手続きについては、日本国憲法96条に定められています。それによると、国会において衆参両院でそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成で発議されます。その後国民投票によって過半数の賛成があると可決され、天皇が公布するとされています。しかし、長い間国民投票の具体的な手続きが定められた法律は存在していませんでした。2007年に憲法改正国民投票法が定められ、2021年6月に改正されました(一般に改正国民投票法と呼びます)。
憲法改正の国民投票は満18歳以上の日本国民に投票権が与えられます。海外に住んでいる人も「在外公館投票」「郵便等投票」「日本国内における投票」が可能です。また、今回の改正で、駅の構内やショッピングセンターに投票所を設けることや遠洋航海中の実習生も船の上での「洋上投票」を実施できるようにするなどの改正が行われました。
憲法改正
日本国憲法はその成立過程から「おしつけられた憲法」といわれることがあります。GHQの指示によって、GHQが提示した草案をもとにつくったものであり、日本が自主的に作ったものではないという批判です。自由民主党は安倍晋三首相(当時)の下憲法改正を目指す動きをしてきました。自民党は結党以来「現行の憲法はGHQの領海の範囲内で作られたもので、国民の意思が反映された自主憲法ではない」として改正を主張しています。与党である公明党は「加憲」を主張し、日本維新の会は時代に合わせた憲法を作るべきだと主張しています。これに対して、日本共産党や社会民主党は、憲法改正に反対しています。今年行われる衆議院選挙でも争点の一つであるといえます。
憲法改正が主張されているポイントはいくつかあります。長年最大の焦点になってきたのは第9条です。自衛隊が戦力の不保持を定めた憲法第9条に違反するという意見は長年あり、自民党は現在の第9条は維持しつつ、自衛隊の存在を明記するべきだとしています。
また、コロナウイルス感染拡大の対策として諸外国が行った対策の一部を日本は憲法違反であるため行えないとする意見があります。そこで、緊急事態条項を設け、戦争や大規模災害等のときに内閣に大きな権限を与えて、国民の権利を制限することを可能にするべきだという意見もあります。
憲法改正の … 衆議院と参議院の両者でそれぞれ の の賛成で発議されます。
… 発議後 日以上 日以内で国会が定めた日に実施されます。 歳以上の日本国民が投票し、 の賛成で可決されます。
憲法の … 可決された改正案は が国民の名で公布し、新しい憲法となります。
… 緊急事態(今回のコロナウイルス感染症の拡大など)が起こったときに、内閣が対策を行おうとしても、国会の承認が必要など迅速な対処ができないことがあります。また、憲法の規定(基本的人権の尊重など)が厳しいため実施できなかったこともたくさんあります。そこで、緊急事態においては内閣の権限を強くするというものです。日本ではロックダウンなどはできませんでしたが、それができるようになるといわれています。
憲法第 条 … 平和主義を定めています。「日本国民は と を基調とする を誠実に希求し、 の発動たる と による威嚇または の行使は を解決する手段としては永久にこれを する」「前項の目的を達するため陸海空軍その他の はこれを保持しない。国の はこれを認めない」
… 緊急事態がおこったときに、外出や移動などを禁止・制限すること。現在の日本では規定がなく、憲法の基本的人権の尊重の原則から不可能であるとされている。したがって、自粛の要請までしかできないことになる。
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