宗教の確認

まずはインドを中心とする南アジアから行きましょう。

それほど難しくないと思います。

① 「アメリカ合衆国との経済的結びつきが強い」とあるので、カナダでしょう。ロブスターもヒント。

② 「1970年末から政治的な対立関係にある」からイランだとわかります。
1979年にイラン革命が起こって以来、アメリカとは犬猿の仲。
経済制裁もあるので、ファストフード店は進出できないでしょう。

③  ピザとあるので、イタリアだとわかる。

④ これがインド。
インドの人口の80%はヒンドゥー教徒。しかしよく考えると20%もその他の宗教の信者がいるということ。インドの人口が14億人だから、2億8千万人のヒンドゥー教徒以外がいるということ。日本の人口より多い。スケールが大きいですね。一番多いのはムスリム。
ということは、豚肉を食べない人もたくさんいるし、牛肉を食べない人もたくさんいる。逆に、豚肉を食べる・牛肉を食べる人もそれなりにいるんです。さらにいうとベジタリアンも非常に多い。
そんなことからこの選択肢のような状況になっているのでしょう。
本来インドは高温多湿な気候のため肉が腐りやすく肉食という文化自体が発展しなかったということはあります。でも、地理の入試に向けてそこまで覚えなくてもいいんじゃないでしょうか。とりあえず「ヒンドゥー教徒は宗教上の理由で牛肉を食べない」「でもムスリムもそれなりの数いるから、豚肉を食べない人もたくさんいる」と覚えておきましょう。ちなみに、次の文章もセンター試験で出たもの。正誤で言うと「正文」です。
「先進国の消費文化が普及したインドの大都市では、外資系のファストフード店が多くの利用客を集めている。」
豊かになるとはこう言うことなんですね。

ちなみに、過去のセンター試験でイランは次のように説明されている。

「この国は、シーア派の指導者を中心にイスラームによる国家建設をすすめてきた。独自の政策路線により、欧米諸国との間で対立している」

これを見てもわかりますね。

イランは長い間アメリカの石油メジャーによって石油の利益を吸い取られていました。それを認めていた国王を追放し、イスラーム教シーア派に基づいた国づくりをしたのがイラン革命。
この結果、石油メジャーを追い出し、石油の利益を自国で確保した。しかし、当然アメリカはこれに反発。こうしてイランとアメリカは犬猿の仲になった。もちろん、今でもこれは続いている。だから、1980年にはイラン革命を原因とする第二次石油危機が起こっている。石油危機といえば1973年、第4次中東戦争(2023年の50年前!)が有名だし、テストでもこちらが多く出題されますが、第二次石油危機も頭の片隅に入れておきましょう。
また、以前の共通試験・センター試験で出た言い回しは覚えておくと役に立ちます。これは授業でもお話ししましたが、ぜひ確認してみてください。

これは授業で扱った問題(覚えてますか?)

今回のテーマと会うのは④。ヒンドゥー教の聖地「ヴァラナシ」です。覚えておきましょう。

ちなみに正解は②です。ミャンマーは東南アジアに位置し、エーヤワディー川の河口に位置しています。東南アジアですから米の生産も盛んな地域です。
① 河口から2500km!北海道から鹿児島より長い!こんなの大陸の内部しかない。と言うことでチョンチン(重慶)。中国の内陸都市です。
③ 奴隷貿易が行われていたと言うことでヨーロッパやアメリカ、アフリカが思い浮かびます。この中ではリヴァプール。ちなみに、リヴァプールは奴隷貿易の拠点として世界遺産に登録されていました。しかし、この文章のような観光開発やマンション開発を行った結果、遺産としての価値が損なわれてしまい、世界遺産から外されてしまいました。

今度はインドは選択肢にはありません。スリランカを選ぶ問題ですが、答えは③。スリランカはシンハラ人(仏教徒)が多く、そこにタミル人(ヒンドゥー教徒)がインドより移住してきました。両者は激しく対立し、10年ほど前までは内戦状態だったようです。現在では和平が結ばれています。

ポイントは「スリランカ = 仏教徒が多い!」です。

ちなみに、①はパキスタン。②はバングラデシュ。この両国はインドから宗教上の理由(イスラーム教徒が多い)ことから分離独立を選んだ国。両国ともムスリムが最大。この両国の違いが出ることはないでしょう。(一応、バングラデシュはイスラーム教が国教になっていますが、それほどイスラーム色が強いわけではありません)

④がネパール。ここもそれほど出題されるわけではないと思いますが、ヒンドゥー教徒が多いことで知られています。在日ネパール人って意外と多くて、インドカレー屋さんの中にはネパール人がやっているものが意外と多いとのことです。

正解は①。バリ島はヒンドゥー教徒が多い。これは覚えておくべきことです。
ちなみに、インドネシアはイスラーム教国家。ムスリムの人数が世界最大の国でもあります。

西アジアもきちんと覚えておきましょう。

まず、アラブ人は基本的にイスラーム教。スンニ派が多い。一方、ペルシア人(イラン人)はイスラーム教ですがシーア派が多い。イラクはフセイン政権崩壊後シーア派の政権ができました。もともとシーア派が多い地域ではあります。

特色のある国ではなんといってもイスラエル。ここはユダヤ教徒が多い。当然ではあります。ユダヤ教の聖地嘆きの壁があります。そして、レバノン。ここはキリスト教徒が多い国です。ちなみに国会議員は宗教別定員制。

ここまで分かればかなり前進。③がレバノン、④がイスラエルです。

さて、ここから。アラブ首長国連邦とイランですが、ポイントは外国籍の住人も含むと言うところ。アラブ首長国連邦はドバイなどに代表されるように非常に経済発展をしています。そこで外国人労働者がたくさん必要とされています。さらには、起業家なども移住しています。(昨年「ガーシー」さんが話題になりましたね。)
当然、彼らの多くはムスリムではありません。つまり、キリスト教徒などがそれなりの数いると言うことです。また、インド人労働者が多いと言うのも出てきます。男性は建設業など、女性はメイド(家事労働者)ですね。彼らはヒンドゥー教徒でしょう。

それに対して、イランは上にある通りアメリカからの経済制裁などの影響もあってそれほど外国人が多くないでしょう。以上のことを考えると、①がイラン、②アラブ首長国連邦です。

参考までに地理Aではこんな問題も出題されています。

これが嘆きの壁です。正解は④。宗教に関する問題は地理Aよりも地理Bで多く出題されています。

ここまでやってくれば問題ないですね。① = ヒンドゥー教、② = イスラーム教、③ = キリスト教、④ = キリスト教です。どの国でどの宗教が多いのか確認してください。

ヨーロッパ絡みを一題。

覚えてほしいのはラテン系(南部)= カトリック、ゲルマン系= プロテスタント、東方 = 東方正教、旧ユーゴスラビアにはムスリムが多い、です。
国別に、カトリックはスペイン、ポルトガル、フランス、イタリア。ポーランドなどもカトリック。
プロテスタントはイギリス、北欧、オランダ。と覚えて大丈夫。
ドイツは北部がプロテスタント、南部がカトリックと分かれている国。

以上を踏まえると、Aはスペインだから全部カトリック。よって、キ。
Bはドイツなのでカトリックとプロテスタントが混在しているところ。よってク。
Cが旧ユーゴスラビア。正教会もムスリムもいるカ。

正解は④

駆け足で見てきたけど、最後の確認に使ってください。授業でも扱った統計を最後に再掲します。

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