原子力発電所からの処理水を排出

処理水の発生

2011年の3月11日、東日本大震災という大きな地震が起きました。そのとき、福島県にある原子力発電所が津波によって壊れてしまいました。原子力発電所は、ウランの核分裂で得られた熱で電気を作るところです。でも、原子の力はとても強くて危険なので、水で冷やさないといけません。水で冷やすときに出る水を「処理水」と呼びます。処理水は、原子の力によって汚染されてしまうので、そのままでは使えません。

原子力発電所が壊れたあと、処理水はたくさんたまってしまいました。政府や専門家は、処理水をどうするか考えました。処理水を地下に埋めたり、宇宙に打ち上げたりする方法もありましたが、それらは技術的に難しかったり、お金がかかったりしました。そこで、政府は処理水を海に流すことを決めました。海に流す前に、処理水から危険な物質を取り除くことにしました。でも、完全に取り除けるわけではありませんでした。特に「トリチウム」という物質は、取り除くのが難しかったのです。

トリチウムは、水素の一種で、自然界にも少しあります。トリチウムは放射性物質と呼ばれるもので、人や動物や植物に影響を与えることがあります。でも、トリチウムは量が少なければ安全だと言われています。政府は、海に流す処理水のトリチウムの量を国際基準よりも低くすることを約束しました。政府は、海に流すことで環境や健康に影響がないとしています。

処理水の海洋排出

2023年の4月から、処理水の海洋放出が始まりました。政府は、放出された処理水の状況や影響を監視することを約束しました。でも、海洋放出に反対する人もたくさんいました。特に漁業関係者や福島県民は心配でした。彼らは、放出された処理水が魚や貝などの海産物に影響を与えるのではないかと不安でした。また、消費者が福島産の海産物を買わなくなるのではないかと心配でした。

海外からも反対の声が上がりました。特に中国や韓国などの近隣国は強く反発しました。彼らは、日本が自分勝手に決めたことだと非難しました。彼らは、放出された処理水が海流に乗って自分たちの国まで来るのではないかと恐れました。中国は日本産の水産物の輸入を禁止する措置を取りました。

ドイツの原子力政策

原子力発電は、石油や石炭などの化石燃料に比べて、二酸化炭素などの温室効果ガスをあまり出さないので、地球温暖化の防止に役立ちます。しかし、原子力発電には大きな問題もあります。それは、原子力発電所で起こる事故や、使い終わった核燃料の処理です。

2011年3月11日、日本の東北地方で大きな地震と津波が起こりました。このとき、福島県にある福島第一原子力発電所が大きな被害を受けました。原子力発電所では、原子のエネルギーを使って水を沸かし、その蒸気でタービンを回して電気を作ります。そのため、原子力発電所では常に水を冷却する必要があります。しかし、地震と津波で電気が止まり、冷却水が足りなくなりました。すると、原子力発電所の中で温度が上がりすぎて、核分裂が制御できなくなりました。これをメルトダウンと言います。メルトダウンが起こると、原子力発電所から放射性物質が漏れ出します。放射性物質は人や動物や植物に悪影響を与えます。例えば、体の中に入ると病気になったり、遺伝子に変化を起こしたりします。

福島の事故は世界中に衝撃を与えました。特にドイツでは、多くの人々が原子力発電に反対するようになりました。ドイツでは、2011年時点で17基の原子力発電所がありましたが、国民投票が行われそのうち8基はすぐに閉鎖されました。そして、2022年までに残りの9基も閉鎖することが決まりました。ドイツは原子力発電から完全に脱却することを目指しています。

実際には原子力発電の完全停止は少し伸びて、2023年の4月になりました。しかし、実際に現在原子力発電所は全て停止しています。

では、ドイツはどうやって電気を作っているのでしょうか?ドイツは再生可能エネルギーと呼ばれるものに注目しています。再生可能エネルギーとは、太陽や風や水など自然の力を使って電気を作ることです。再生可能エネルギーは、化石燃料や核燃料と違って無尽蔵にあるし、温室効果ガスも出しません。ドイツでは、太陽光発電や風力発電や水力発電などさまざまな方法で再生可能エネルギーを利用しています。2020年時点で、ドイツの全発電量の約46%が再生可能エネルギーから来ています 。ドイツは2030年までに65%、2050年までに80%以上を再生可能エネルギーでまかなうことを目標にしています。

ドイツは原子力発電の危険性を認識し、再生可能エネルギーの利用を進めています。これは地球環境の保護や持続可能な社会の実現に貢献することでしょう。ドイツの取り組みは、他の国にも参考になると思います。

一方、フランスは現在でも発電の7割を原子力で行っています。国によって考え方が違うことがわかります。下のグラフは各国の発電の割合です。どのようなことに気がつきますか?

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