共通試験試行調査 30年 ③

問1

感覚的にもイスラーム教が一番多い(A)であることはわかると思う。キリスト教がカトリックとプロテスタント、東方正教に分かれているが、もし全て合わせて「キリスト教」とすれば1位になる。しかし、宗派にわけてしまうとイスラーム教の方が多くなる。

問題はB。ヒンドゥー教はインドの宗教であり、世界宗教ではないが、インドでは人口の80%がヒンドゥー教を信仰している。インドの人口は13億人に上るため、ヒンドゥー教信仰者数は約10億人ということになる。したがって、Bがヒンドゥー教。

プロテスタントは西ヨーロッパやアメリカのゲルマン系国家に広まっている。ドイツやイギリスが有名だが、人口の全てがプロテスタントというわけではない。アメリカでも、ヒスパニックはカトリックであることが多い。よって、それほど信仰者数は多くない。Cがこれに当たる。

正解は①

問2

①は正しい。解くにスペインとポルトガルは布教に熱心であった。したがって、スペインやポルトガルの植民地であった地域(南米が有名)はキリスト教カトリックが今でも広まっている。

②が誤り。東方正教はスラブ系の人々に広まっている。ラテン系がカトリック、ゲルマン系がプロテスタントというのがヨーロッパにおける宗教分布。

③は正しい。アラビア半島ではじまったイスラーム教は、征服活動と共に布教された。

④も正しい。インドから中国、朝鮮半島を経て日本に広まったのが大乗仏教。インドから東南アジアに広まったのが上座部仏教。そのほかに、チベット〜モンゴル高原に広まったチベット仏教がある。

各地域の宗教分布をまとめてみました。参考にしてください。

問3

地図がない状態で雨温図を問うという珍しい問題。そこまで難しくはない。

まず、雨温図を見てみる。

Kは乾燥気候。砂漠であろう。Lは温帯で、夏に降水量が少ない。したがってCs気候。最後に、Mは冷帯。

それぞれの文章を考えてみる。衣服でも住居でも考えることはできるはずである。

まず、アから。「毛織物」「石造りの家」とあるので、ヨーロッパの地中海沿岸が思い浮かべられる。ヨーロッパでは長い間毛織物産業が盛んだった。綿織物が使われるようになるのはインドから綿織物が入ってきたことであり、その後産業革命によって綿織物の生産が盛んになった。とはいえ、ヨーロッパでは綿花を栽培することはできず、綿花はインドやエジプト、新大陸などから大量に運んでくることになる。よって、伝統的な衣服は毛織物。
また、Cs気候では硬葉樹が中心。オリーブなどだが、大木には育たず建築材には向かない。そこで、石で家を作ることになる。よって、アがL。

次にイ。「獣皮」「木造」とあるので、冷帯であることがわかる。農業に向いていない冷帯で狩猟をおこない、その獣皮を衣服の材料にすることが盛ん。もちろん、乾燥地帯でも獣皮から衣服を作ることは行われている。木造の家を作るのはタイガが広がる冷帯。針葉樹は硬く、生長が早いので建築材に向いている。これは、冷帯の国々から木材の輸出が多いことからもわかる。よって、イがM。

最後にウ。「放熱性に優れた麻や綿織物」とある。綿花は乾燥地帯でも灌漑を行えば栽培できる。また、放熱性に優れているのだから暑さが問題になる地域である。「日干しれんが」は乾燥地帯で使われる建築材料。以上のことからウはKであることがわかる。

正解は⑤

問4

まず、下線部aは乾燥地域であった。これを確認しておくこと。その上で、カードを見てみると、①が正解であることは比較的簡単にわかる。②は屋根を平らにすると風通しが良くなるということはきたことがない。そもそも風が吹くのかも、風通しを良くする必要があるのかもわからない。③は乾燥地方で病害虫や疫病はあまり大きな問題にならない。また、防ぐために密集というのもおかしそう。密集させない方が特に疫病には効果がありそう。④は乾燥地域で季節風は問題にならない。季節風といえば南アジア〜東南アジア〜東アジアが有名。アフリカでも季節風が吹くところはあるが、いずれにしろ季節風が吹くと降水量が増えるので乾燥地域ではあり得ない。

正解は①

問5

まず、原産地はある程度は知っておくこと。特に新大陸原産のものは大切。15世紀にヨーロッパ人がアメリカ大陸に辿り着くまで、アメリカ大陸にしか存在しなかったはずである。この段階で①か②が正解となる。

その先、どのように伝播したかだが、pからqrsにそれぞれ伝わったのか、それともpからqに伝わり、そこからrsに伝わったのかだが、アメリカ大陸はほとんどがスペイン・ポルトガルの植民地になった。ということを考えると、直接rs(特にs)に伝わるとは考えずらい。よって、②が正しい。

正解は②

アメリカ大陸原産の作物の伝播経路です。また、他の主な作物についても図を載せます。どこが原産なのかを特に覚えましょう。

問6

文章をしっかり読めばできる。

まず、カは「食文化が画一化している面もある」とある。すると、Uが良い。アメリカの巨大企業が全国各地で、というより世界各地で店舗を開くことでみんな同じものを食べるようになる。(余談だが、海外にいてその国の料理が口に合わない時にマクドナルドのハンバーガーとコカコーラを食べるとホッとする。)

次にキだが、同じものを食べているということを証明したいのだから、Xのカロリー摂取量とその内訳が良い。各国の農作物輸出額と内訳を見ても、それ以外の地域から輸入されたものはわからない。また、何を食べているのかもよくわからない。

正解は③

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