共通試験 21−1

問1

隔海度(海からどのくらい離れているか)だけが違う組み合わせを探す問題。問題文をしっかり読み取れていることが大切。

① これが正解。アは海のそばでイは内陸部。そのほかの条件(地形・標高など)は同じ

② これで引っかかった人もいるのではないか。イは平地にあり、ウは山の麓にある。当然、条件は違う。

③ これは標高が違う。

④ 標高も違うし、地形も違う

類題は2005年 第1問 問3

どのような条件で降水量が変化するかを捉えていることが大切。センター試験・共通試験では気候の論理が出題される。ケッペンの気候区分を知識として知っているか、はほとんど問われていない。

こちらの問題は降水量が少なくなる条件を考える問題。砂漠を考えよう。

① 内陸砂漠

内陸部であるため降水量が少ない = 隔海度が大きいため降水量が少ない

今回の問題では出題されていない

② 回帰線砂漠

南北の回帰線(緯度23.4度)のあたりで高圧帯ができるために降水量が少なくなる。

③ 海岸砂漠

沖合に寒流が流れており、大気が固定されてしまい砂漠になる。大陸の西岸にできる。

④ 雨陰砂漠

恒常風が山を越えた時、風下側にできる。

以上の4つのうち、南アメリカ大陸で大切なのは③ 海岸砂漠であるアタカマ砂漠と④ 雨陰砂漠であるパタゴニア。グラフを見ると、③と④に砂漠があることが予想される。

アタカマ砂漠はM1あたり、パタゴニアはN3あたりに位置する。

正解は④

アタカマ砂漠は頻出。しっかりと場所を覚えましょう。

パタゴニアについては頻出というほどではない。しかし、考えるときの材料にはなる。

問2

まず、地点Dを見ると、夏の降水量が30mm未満であり、他の季節はおおむね50mmを超えている。おそらくCs気候であると考えられる。

Cs気候に影響を与えるのは亜寒帯低圧帯。冬になると太陽は南半球を通るようになり、北にあった低圧帯が下がってきて降水量を増やす。夏はその逆で、太陽が北半球を通るようになり、南にあった回帰線高圧帯が北上してくる。

そもそも、熱帯低圧帯の影響を受けるところは夏に降水が増える(= 冬に降水量が少なくなる)。この点については22年の共通試験の解説でも触れた。「Aw」という気候はあるが、「As」という気候はない。冬に降水量が増える(= 夏に降水量が減る)のは亜寒帯低圧帯の影響である。

次に、地点Eは南に800km離れているとある。地球は一周4万kmである。一周は360度であるから、40000割る360は111.111…。つまり、緯度1度は111kmということになる。すると、800kmは約7度ということになる。Cs気候は北緯30〜50度の大陸西岸に分布している。ということは、E地点は北緯22〜42度くらいの地点ということになる。降水量が30mm以上(= 湿潤な時期)がD地点と比べて長いのか短いのかを問われているわけだから、これはCs気候より南にあると考えて良い。しかも、800km南では熱帯ということはない。

すると、亜寒帯低圧帯の影響は少なくなるはずである。よって、降水する期間は短くなるはずである。

長々と書いたが、単純に南に行くのだから亜寒帯低圧帯の影響は少なくなる、でも正解できる。

正解は②

問3

難しかったのではないか。与えられた文章をよく読んで判断することが求められる。

まず、災害のきっかけと災害への弱さとある。きっかけは自然のものである(台風が来た、地震が起きた、等)。一方、災害への弱さとは人為的なものである(堤防を作っていなかった、耐震性が低い建物が多かった、等)。

タとチに当てはまるのは、災害への弱さに対応するカードを選ぶのだから、aとcである。bとdについては、自然のものであり、災害のきっかけを表している。

次に、タイでの洪水のきっかけ = 自然の様子を知るきっかけを得るために何を調べればいいのかということを考える。

そもそも「二つのものを比べる」というときには、一つの変数しか変化させてはいけない。

例えば、「背が高くて太っている人」と「背が低くて痩せている人」がかけっこをする。どちらかが早かったときにその原因が「背が高いか低いか」なのか「太っているか痩せているか」なのかはわからない。背は同じくらいで「太っている人」と「痩せている人」を比べるか、同じくらいの太り具合で「背が高い人」と「背が低い人」を比べないと原因を突き止められない。そして、変化させるものが調べたいものになるはずである。

以上のことを踏まえて考える。

知りたいのは「タイでの災害のきっかけ」である。災害のきっかけは「雨季の熱帯低気圧」である。つまり、「雨季の熱帯低気圧」について知りたいのだ。

「タイの雨季に降水量が多かった」と比べるものは「タイの雨季に降水量が少なかった」でなくてはならない。これによって、どのような状況で熱帯低気圧が襲来するか(= 災害のきっかけがやってくるのか)がわかる。「タイの乾季に降水量が多かった」では、災害の原因にならない。(起ったとしても別の災害になってしまう)

ちなみに、このようなカードを使う問題はセンター試験・共通試験ではよくみられる。

正解は①

問4

まず、変動帯にある山だが、変動帯とは「現在変化している」と解釈すれば、今変化している山だということがわかる。つまり、新期造山帯に当てはまるものを選ぶということである。もちろん、狭まる境界、広がる境界、ずれる境界も変動帯に当たる。

新期造山帯は「アルプス=ヒマラヤ造山帯」と「環太平洋造山帯」である。オーストラリアに新期造山帯はかからない。(Mは古期造山帯であるグレートディバイディング山脈にある。)

従って、正解は③

次に、氷河がある山であるが、本文にヒントがある。キリマンジャロの頂上に氷河があるとのこと。キリマンジャロは赤道直下である。ということは、キリマンジャロよりも高ければ氷河が存在すると考えて良い。Mについてであるが、南緯40度より少し北であろうか。ということは、日本で言うと東北地方南部である。それで標高2000m級では氷河がないと考えるのが普通であろう。

正解は③

問5

ヤは誤り。森林の有無は降水量だけで決まるわけではない。当然気温も関係する。(高山では気温が低いため森林が見えなくなると言うのは普通のことである)

ユは正しい。大気の逓減率は0.55あるいは0.65。100m上昇したときに下がる温度のことである。

正解は②

問6

まずはグラフから。

氷河が最も縮小している時期なので、氷河からの流出が多くなるはずである。流出する時期はそれ以前と変わらないと考えられる。と言うことは、hが正解。gのように突然春・秋に流出が増えることはない。

文章はXが正解。当然、水が増えるので農業用水も発電用水も増える。Yについては、水が増えるのだから洪水は増えるはずである。

正解は⑤

今回の問題。類題を探しきれませんでした…

とても個性的な問題が並んでいますね…

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