共通試験 試行調査 30年 ①

問1

海岸地形についての問題。まず、絵を見ると、細長い島は海岸線と同じ方向に並んでいる。これは「平行」である。「直交」ならば、当然90度の角度で交わるということになるので違う。

イは「雨水や河川」とある。当然地球の外にあるものだからこれは「外的営力」になる。内的営力とは隆起、沈降など地球内部からの力をいう。

正解は③

問2

繰り返しになるが、センター試験において海底地形は押さえておかなければならないポイント。具体的には狭まる境界と広がる境界は必ず覚えておく。すると、この問いで問われているA〜Cは狭まる境界があるところだということがわかる。境界の場所は下の図を参照してほしい。

狭まる境界の図が下の図。これも確認になりますが、狭まる境界には海溝があり、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいきます。この場所が地震が起こるポイントです。そして、大陸プレートの下でマグマとなり、吹き出します。こうして陸地には火山ができます。ここを火山フロントと呼びます。

以上のことにより、陸地に火山が一列に並ぶということと、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むところで地震が起こるということが分かります。「火山が一列に並んでいるところの海側に海溝がある」ということがポイントでした。

以上のことから、陸地(島)に沿って火山が並んでいると、その海側に狭まる境界があるということです。もちろん、狭まる境界の位置を覚えているとすぐにわかると思います。また、狭まる境界は環太平洋火山帯とアルプス=ヒマラヤ火山帯に沿ったところにも分布しています。共通試験では「細かいところまで覚える」のではなく、「だいたいこのような分布」で答えられることが多いので、このように大雑把に覚えてもらっても大丈夫です。

この図で言うと、日本列島と中米が環太平洋火山帯になります。そして、陸地と同じ形にドットが打ってある図を選びましょう。

まず、分かりやすいのは日本列島があるBでしょう。同じ形にドットが打ってあるのは、カです。そして、Cのインドネシア。左から右へ島が連なっているのはキです。残ったAの中米がクでしょう。

そして、Bを見てみると、黒い丸が連続している右側に白丸が分布しています。と言うことは、黒丸が火山が連なっているところ、そして白丸が地震が起こった場所でしょう。日本列島は太平洋側に狭まる境界があるはずですので、このような分布になります。もちろん、白丸の方が一列に並んでいるわけではないと言うことからも地震の分布ということがわかると思います。

正解は⑥です。

ちなみに、2022年 共通試験 地理Bの第1問・問1で出題された内容はまさにこの問題の内容と同じでしょう。使われた地図も、AとCの地域です。この問題をやっていれば、AとCの地域に狭まる境界があると分かります。
センター試験・共通試験ではこのように繰り返し出てくる場所・繰り返し出てくる考え方というものがあります。過去問演習が大切な試験だということが分かります。

ぜひ、もう一度

22年 共通試験 地理B 第1問 問1

を見てみましょう。

問3

共通試験になって、手間のかかる問題が増えた。面倒くさがらずに考えることが正解への道。考え方をよく復習すること。

降水量のグラフ

まず、降水量のグラフを見る。
サは1月に降水量が多く、7月に少ない。7月に少ないと言っても、乾季といういうほどではない。
シは明らかに1月も7月も降水量が少ない。したがって、乾燥気候の場所であろう。
スは1月も7月も降水量は安定している。

降水量が多い・少ないと簡単に解説しましたが、もう少し考えてみましょう。

目安として、砂漠気候になるには年降水量が250mm未満、ステップ気候になるには年降水量が500mm未満でいいと思います。

サの7月は80mmほどの降水量です。仮に、12倍すると960mmになります。ということは、降水量が少ないときに80mmの月降水量だと乾燥気候だとは言えません。同じ理屈でスも約100mmという月降水量であることから乾燥気候ではないと言えます。

注意してほしいのは、サが雨季と乾季のある気候だと判定しないこと。サは一年中湿潤であるといえるでしょう。

地図の中の地点

次に、E、F、Gを考えてみます。

簡単なのはF。ここはセンター試験の過去問でも扱いました。アタカマ砂漠があるところです。沖を長えれるペルー海流という寒流の影響で大気が安定し、降水が少なくなることで成立する砂漠です。これを海岸砂漠と言いました。地図中のこの場所で「アタカマ砂漠 = 海岸砂漠」とわかるようにしましょう。

海岸砂漠と雨陰砂漠の確認は以下のページを見てみましょう。

LINK:ケッペンの気候区分2

次にEです。微妙に南半球にありますが、赤道直下ですから回帰線低圧帯の影響は受けないと考えていいでしょう。したがって、乾季はありません。

そして、Gですが、ここは温帯の地域でしょう。ということはここも湿潤な地域です。

ここで、EとGを比べたときに、Eの方が赤道直下ですから、こちらの方が降水量が多そうです。以上のことから、Eがサ、Gがシ、Fがスと考えてよさそうです。

文章の判定

サからみていきます。

1月も7月も降水するのは南北からの貿易風が収束する場所だから、というのは正しそうです。赤道直下では一年中熱帯低圧帯の影響を受けます。

次にシです。

高い山脈の風下側なので乾燥気候になるというのはパタゴニア地方です。雨陰砂漠というのを覚えていますか?これは、アンデス山脈の東側(アンデス山脈と大西洋に囲まれた地域)に広がっています。耐乾性の家畜である羊の牧畜がさかんな地域です。アンデス山脈の西側(アンデス山脈と太平洋に囲まれた地域)は海岸砂漠でした。以上のことから、この文章は誤っていると言えます。

最後にスです。

G地点の南側に海が陸地に入り込んでいるところが見えます。G地点はウルグアイにありますが、海が入り込んでいるところの南側にはブエノスアイレスがあります。ここはアルゼンチンになります。ブエノスアイレスは南緯35度くらい。東京が北緯35度くらいですから、ちょうど日本と赤道を挟んで対照的な場所になります。しかも、G地点も大陸の東側に位置していますから、日本と同じような気候だと考えて良いのではないでしょうか。いつも言いますが、「日本のことは分かり易い」「自分の住んでいるところのことは分かり易い」です。ということは、前線の影響を受けて降水量が多いというのは正しそうです。

以上のことから、正解は③だということが分かります。

問4

今年の夏は例年に比べて暑かったと言うことを客観的に検討する方法を問われている。

「今年の夏」と「例年の夏」を比べる方法であるが、当然、今年のデータだけを集めると言うのでは比べることはできない。従って、②は不正解。また、「客観的に」とあるので、④の主観的な考えを集めると言うのも不正解になる。

次に①であるが、猛暑日の日数を比べると言う方法については、日本の都市だけならこの方法もあり得るかもしれないが、世界だとこの方法は取れない。そもそも35℃以上になる日が全くない地域もあるし、恒常的に35℃以上になる地域もあるかもしれない。そのような地域では、35℃という基準自体が意味をなさないことになる。

従って、正解は③である。過去30年の平均値と今年を比べることで、今年の夏が例年に比べて暑かったかどうかを知ることができる。

問5

P、Q、Rの地点の地形と土地利用について考える問題。

わかりやすいのはQ。山と平地の間に扇型の傾斜地があり、その傾斜地が終わる部分に点Qがある。これは扇状地の扇端に点があると言えるだろう。選択肢はチを選べば良い。前半部で扇状地について説明しており、次に先端について説明している。この扇端は湧水がみられ、水を得やすいため集落が形成される。

次にR地点。沖積平野の川のそばにある点である。文章はタ。河川近くにある微高地とは自然堤防のこと。自然堤防は住宅が造られ、さらに畑になる。その他の土地は水田になる。

最後にP地点。文章はツ。3地点の中では形成年代が古いと言うのは、河川による侵食・堆積が行われていないと言うことである。崖の上にあるが、崖の下の平地は川による侵食・堆積が行われてきたと言うこと。また、扇状地は当然河川による堆積によって造られた土地。それらがないと言うことは長い年月現在の状態が続いていると言うこと。つまり、「形成年代が最も古い」と言うことになる。崖の上にあるので、水が得にくく、開発がなされていなかったが、用水路ができたことによって開発が行われるようになった。

類題 2016年 地理A 第2問 問4

解くためには、まず、液状化がどのようなところで起こるか考える。液状化が起きやすいのは以前水があったところである。干拓地、埋立地などが思い浮かぶが、この問題では旧河道がこれにあたるだろう。液状化発生範囲と分布が一致するのはク。これが旧河道。

次に、自然堤防は川の沿岸にできる。堤防であるからそれ以外の場所にできることはない。旧河道の周辺ということはカがこれにあたる。

最後にキが台地。丈夫な地面であり、液状化とは無縁である。また、河川とも無関係に広がる。

正解は⑤

これを類題としたが、それぞれの地形がどのような特色を持つのかを理解していることが大切。試行試験はとても良問が多いと感じているが、この問題もとても良い問題だと思います。

問6

とっつきづらく感じるが、一つずつ冷静に考えていきましょう。

まず、アフリカ・南北アメリカ・アジア・ヨーロッパ・オセアニアと分けたときに面積に大きな差があるか?と言うことを考えます。ヨーロッパにロシアを含むとすれば、そんなに大きな差はないでしょう。もちろん、オセアニアは狭いかなと言う気がしますが。

次に人口を考えてみましょう。これは下のグラフを見てください。圧倒的にアジアが多いと言うことがわかります。

以上のことから何がわかるかというと、面積がそんなに変わらないのであるならば災害件数は大きな差はないのではないでしょうか。そして、人口に差があると言うことは、被災者数は差があるはずです。

以上のことを考えると、災害発生件数はニ、被災者数はヌだと考えられます。

ここで答えに飛び付かず、もう一つの選択肢も検討します。ナが被害額ということですが、アフリカが極端に少なくなっています。これは、そもそも経済的に発展していないので被害額が少ないと言うことで説明がつくと思います。

ここまで考えた上でグラフを見ると、ヨーロッパとオセアニアの被災者数の少なさが目立ちます。オセアニアについてはそもそも人口が少ないので問題ないでしょう。ヨーロッパに関しては、インフラが整備されており、災害対策も取られている点。また、そもそも北緯40度以上の地域ですから、巨大台風が来ることはないでしょうし、巨大地震という話も聞いたことがありません。災害ですから、寒波や干ばつなどは考えられますが、たくさんの人が亡くなるような災害は少ないからだと考えられます。

正解は③

類題 2020年 地理B 第1問 問6

地震は環太平洋造山帯に沿った場所で多いと考えられる。これは狭まる境界沿いということでもある。南北アメリカ大陸の太平洋側がこれに当たるので、ツと考えられる。

熱帯低気圧はカリブ海沿いに多いと考えられるので、タ。

森林火災であるが、乾燥している地域に多いと考えられる。アマゾンの熱帯林で多い = ブラジルで多いのでは?と考えた人は戸惑ったかもしれない。アマゾンでも森林火災は起こるが、降水が多いので大規模なものになることは少ない。それに対して乾燥しているカリフォルニアなどで多く発生している。実際、2022年8月に起こったカリフォルニアの火事は焼失面積が史上最大となった。以上のことから、森林火災はチとわかる。下に挙げた動画はカリフォルニアの山火事の様子。このニュースの中でも「気候変動による旱魃の影響で・・・」という表現が出てくる。

正解は⑥

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