人口問題

世界の人口

みなさんは、世界の人口がどのくらいあるか知っていますか?実は、今年の8月に、世界の人口が80億人を超えました。80億人というと、どれくらい多いか分かりますか?例えば、日本の人口は約1億2千万人です。つまり、日本の人口の約66倍もの人が、世界には住んでいるということです。すごいですね。

では、なぜ世界の人口が増えているのでしょうか?それは、主に2つの理由があります。1つ目は、医療技術の発達です。昔は、病気や事故で亡くなる人が多かったですが、今は、薬やワクチン、手術などで治療できることが多くなりました。そのため、人々の平均寿命が長くなりました。

2つ目は、出生率の高さです。出生率とは、1年間に生まれた赤ちゃんの数を表す数字です。特に、アフリカやアジアなどの発展途上国では、出生率が高く、子供がたくさん生まれています。これらの理由で、世界の人口はどんどん増えています。

しかし、世界の人口が増えることには、いろいろな問題があります。例えば、食料や水などの資源が不足することです。80億人もの人々が食べたり飲んだりするためには、たくさんの作物や動物を育てたり、川や湖から水を汲んだりしなければなりません。

しかし、地球には限られた土地や水があります。そのため、資源をめぐって争いが起こったり、環境が破壊されたりする恐れがあります。また、住む場所や仕事も足りなくなることです。80億人もの人々が住んだり働いたりするためには、たくさんの家や工場を建てたりしなければなりません。しかし、地球には限られたスペースがあります。そのため、都市が過密化したり、貧困や失業が増えたりする恐れがあります。

では、私たちはどうすればいいのでしょうか?世界の人口問題を解決するには、みんなで協力しなければなりません。例えば、資源を節約することです。食べ物や水を無駄にしないようにしましょう。また、再生可能エネルギー(太陽光や風力など)を使うようにしましょう。これらは自然から得られるエネルギーで、環境に優しいです。

また、出生率を抑えることです。特に発展途上国では、教育や医療を充実させることで、子供を少なくすることができます。つまり、発展途上国に対して医療以外の援助を行うことも大切だということです。これらの方法で、世界の人口を適切な水準に保つことができます。

インドが人口世界一に

みなさんは、世界で一番人口が多い国はどこだと思いますか?答えは、インドです。インドの人口は約14億2800万人です。昨年までは中国が人口が一番多い国でしたが、現在の人口は14億2600万人です。2023年の半ばにインドが中国を追い抜いたそうです。(国連人口基金・UNFPAの推計)この両国で世界の人口の3分の1以上を占めています。すごいですね。

インドは国土面積は世界7位です。北東部にはヒマラヤ山脈があります。仏教が興こった国ですが、現在はヒンドゥー教徒が多いことで知られています。また、IT産業が非常にさかんな国です。特にアメリカと約12時間の時差なので、インドとアメリカに支店を置くと24時間営業することができることも有利な点です。さらに、イギリスの植民地だったので英語を話せる人も非常に多いというのも強みです。

では、なぜインドの人口が中国の人口を超えたのでしょうか?その理由はいくつかありますが、主なものは以下の3つです。

  1. 出生率の違い
    出生率とは、1年間に人口1000人あたり産まれる子どもの数のことです。インドの出生率は18.5で、中国の出生率は11.9です。つまり、インドでは中国よりも多くの子どもが生まれています。
  2. 死亡率の違い
    死亡率とは、1年間に人口1000人あたりの亡くなる人の数のことです。インドの死亡率は7.3で、中国の死亡率は7.8です。つまり、インドでは中国よりも亡くなる人の数が少なくなっています。
  3. 一人っ子政策の影響
    一人っ子政策とは、1979年から2015年まで中国で行われた、夫婦が一人しか子どもを持てないという制度のことです。この政策によって、中国では出生率が低下し、高齢化が進みました。一方、インドでは一人っ子政策はありませんでした。そのため、インドでは若い世代が多く存在しています。当然若い世代が多ければ産まれる子どもの数も増えます。

以上が、インドの人口が中国の人口を超えるようになった理由です。そして、インドはBRICSと呼ばれる経済発展が著しい国の一つです。また、QUADの一員であり、日本と経済・政治的な結びつきが今後強くなる国の一つだと考えられています。

さらに、インドはグローバル・サウスの中心となる国です。グローバル・サウスとは、明確な定義はありませんが、発展途上国のことを指します。多くの国で人口が増えており、資源を産出する国も少なくありません。また、経済発展が著しい国もあります。今後の国際社会を考えると無視できない存在です。

人口爆発と少子化

ここでは発展途上国の人口爆発と先進国の少子化についてお話しします。この二つの現象は、世界の人口のバランスや経済や環境に大きな影響を与えています。では、それぞれの原因や問題点は何でしょうか?

人口爆発

まず、発展途上国の人口爆発です。人口爆発とは、人口が急激に増加することを言います。現在、アフリカ大陸諸国で多くみられます。

人口爆発は主に医療や衛生の向上によって、出生率は高いままで死亡率が低下したために起こりました。これによって、子どもや若者が多くなり、労働力や消費力が増えるというメリットがあります。

しかし、同時に食糧や水や教育などの資源が不足し、貧困や病気や紛争などの問題が深刻化するというデメリットもあります。そのため、発展途上国では家族計画や女性の教育や就業などを通して、出生率を適切な水準に抑えることが必要です。

今まで発展途上国に対する支援は医療支援に偏りがちでした。これを教育など社会全体を変えていくような支援をすることが大切です。特に農業が中心の国では子どもを労働力として見る風潮があります。すると、子どもが多い方が助かる、ということになってしまいます。このような社会を変えるような支援が先進国に求められています。

次の表は世紀ごとの世界の人口を表しています。どんなことがわかりますか?

15世紀、19世紀に急に人口の増え方が大きくなっています。14世紀、18世紀にあった出来事が原因だと考えられます。どのようなことが原因なのか考えてみましょう。

世紀人口増減
10世紀310,000,000
11世紀350,000,000+40,000,000
12世紀400,000,000+50,000,000
13世紀450,000,000+50,000,000
14世紀350,000,000-100,000,000
15世紀450,000,000+100,000,000
16世紀580,000,000+130,000,000
17世紀680,000,000+100,000,000
18世紀770,000,000+110,000,000
19世紀1,260,000,000+490,000,000
20世紀4,430,000,000+3,170,000,000
21世紀8,000,000,000+4,570,000,000
UNFPAのデータを参照しました。

少子化

次に、先進国の少子化です。少子化とは、産まれる子どもの数が減少することを言います。これは主に経済や社会の変化によって、結婚や出産を遅らせたりしなかったりする人が増えたために起こりました。

これによって、高齢者や老人が多くなり、社会保障費や医療費が増えるというデメリットがあります。また、労働力や消費力が減り、経済成長が低下するというデメリットもあります。そのため、先進国では子育て支援や働き方改革などを通して、出産や育児をしやすい環境を整えることが必要です。

国名合計特殊出生率
日本1.39
韓国1.11
アメリカ1.84
フランス2.02
スウェーデン1.67
中国1.45
ニジェール6.73
CIA調査(2023年)、主な国の合計特殊出生率

フランスやスウェーデンは少子化対策に成功した国と言われます。どのような対策をしたのか考えてみましょう。

日本の少子高齢化

少子高齢化とは、何でしょうか?簡単に言えば、子どもの数が少なくて、お年寄りの数(正確にはお年寄りの割合)が多くなることです。では、なぜこれが問題なのでしょうか?それは、子どもが少ないと、将来の働き手や税金を払う人が減ってしまうからです。また、お年寄りが多いと、年金や医療などの社会保障費が増えて、国の財政が苦しくなります。さらに、人口が減っていくと、経済や文化などの活力も低下してしまいます。このように、少子高齢化は日本の未来にとって重大な課題です。

高齢化

高齢化とは、人口の中で高齢者(65歳以上)の割合が高くなることを言います。日本では、高齢者の割合がどんどん増えています。2022年には、人口の28.4%が高齢者でした。これは、世界で最も高い水準です。

では、なぜ日本は高齢化しているのでしょうか?その理由はいくつかありますが、主なものは以下の2つです。

  • 合計特殊出生率が低い
  • 平均寿命が長い

合計特殊出生率とは、1人の女性が一生に産む子どもの平均数のことです。日本では、出生率が低くて、子どもが少なくなっています。2022年には、合計特殊出生率は1.26でした。これは、世界で最も低い水準のひとつです。出生率が低い理由としては、結婚や出産を遅らせる傾向や、経済的な不安や負担などが挙げられます。

平均寿命とは、人間が平均して生きる年数のことです。日本では、平均寿命が長くて、人々が長生きしています。2022年には、男性の平均寿命は81.4歳、女性の平均寿命は87.5歳でした。これは、世界で最も長い水準です。平均寿命が長い理由としては、医療や衛生の発達や、健康意識の高まりなどが挙げられます。

みなさんは、「高齢化社会」という言葉を聞いたことがありますか?高齢化社会とは、人口の中で高齢者(65歳以上)の割合が多くなっている社会のことです。高齢者の割合が7%以上になると、高齢化社会と呼ばれます。日本は、1970年に高齢化社会になりました。

では、「高齢社会」とは何でしょうか?高齢社会とは、高齢者の割合が14%以上になっている社会のことです。高齢者が人口の7分の1以上を占めると、高齢社会と呼ばれます。日本は、1994年に高齢社会になりました。

さらに、「超高齢社会」とは何でしょうか?超高齢社会とは、高齢者の割合が21%以上になっている社会のことです。高齢者が人口の5分の1以上を占めると、超高齢社会と呼ばれます。日本は、2007年に超高齢社会になりました。

みなさんは、これらの違いがわかりましたか?日本は、世界で最も早く高齢化した国です。そして、今も高齢化が進んでいます。2022年には、高齢者の割合が28.4%になりました。これからも、この傾向は続くと予想されています。2050年には、高齢者の割合が38.4%になると言われています。

少子化

少子化とは、出生数が低くなって、子どもの数がどんどん減っていくことです。合計特殊出生率とは、一人の女性が一生に生む子どもの数の平均のことです。2022年には1.26でした。

これは、日本の人口を維持するためには2.1程度の合計特殊出生率が必要だと言われています。つまり、日本の合計特殊出生率は人口維持に必要な水準よりもかなり低いものです。

日本の少子化は、1970年代からずっと続いています。その原因はいろいろありますが、一つは結婚や出産に関する人々の考え方や環境が変わったことです。例えば、女性が仕事をするようになったり、結婚や出産をする年齢が遅くなったり、結婚しない人や子どもを持たない人が増えたりしました。また、経済的な理由や社会的な制度なども結婚や出産に影響を与えています。

少子化は日本にとって大きな問題です。少子化が進むと、人口が減って高齢者の割合が増えます。これは、社会保障や医療などの負担が重くなったり、労働力や消費力が減ったりすることを意味します。また、地方では人口が減って過疎化が進み、学校や病院などのサービスが維持できなくなるかもしれません。

日本政府は少子化対策を行っています。例えば、保育所や学校の充実や改善をしたり、育児休業や育児支援金などの制度を作ったりしています。特に岸田首相は「異次元の少子化対策」という言葉で注目されました。これは、少子化対策に多額の予算を投入したり、こども家庭庁という新しい省庁を作ったりすることで、少子化問題に本気で取り組むという意味です。

こども家庭庁とは、日本の政府の一部で、子どもや家庭に関するさまざまな問題や政策を担当している機関です。

こども家庭庁は、2021年に発足しました。こども家庭庁の目的は、子どもや家庭の幸せや安全を守り、子育てや教育、福祉などのサポートを提供することです。こども家庭庁は、以下のような活動を行っています。

  • 子どもの権利や健康を保障するために、法律や制度を作ったり改善したりします。
  • 子どもや家庭が困ったときに相談できる窓口やホットラインを設置したり、専門家やボランティアと連携したりします。
  • 子どもや家庭が暮らしやすい社会を作るために、地域や企業、学校などと協力したり、啓発活動やイベントを開催したりします。
  • 子どもや家庭の声を聞くために、アンケートやヒアリングを実施したり、子ども会議などの場を設けたりします。

こども家庭庁は、子どもや家庭のために働く人たちが集まっています。

こども家庭庁のトップは、こども家庭大臣です。こども家庭大臣は、内閣総理大臣によって任命され、子どもや家庭に関する政策の方針を決めたり、他の省庁と連携したりします。

こども家庭大臣の下には、こども家庭副大臣やこども家庭政務官という人たちがいます。彼らは、こども家庭大臣の補佐をしたり、国会で議論したりします。

また、こども家庭庁には、約500人の職員がいます。彼らは、事務や調査などの仕事をしたり、各地で活動したりします。

人口減少社会

人口減少社会とは、何でしょうか?それは、国の人口がどんどん少なくなっていく状態のことです。人口が減ると、どんな問題が起こるでしょうか?

以下に、人口減少社会がもたらす問題の一部を紹介します。

  • 経済の停滞:人口が減ると、働く人や消費する人も減ります。すると、経済が成長しづらくなります。経済が停滞すると、国の収入や福祉も低下します。
  • 社会保障の破綻:人口が減ると、高齢者の割合が増えます。高齢者は、医療や介護などのサービスを必要としますが、それに対応する人や資金が不足します。高齢化が進むと、社会保障制度や年金制度にも負担がかかります。これは若い人の税負担の増加という意味もあります。
  • 地域の衰退:人口が減ると、都市部に集中する傾向が強まります。すると、地方や農村部はさらに過疎化します。地域が衰退すると、文化や伝統も失われます。
  • 国際的な影響力の低下:経済も社会も衰退すると当然国際的な日本の地位も低下します。
年度人口増減
1970年104,665,000
1975年111,939,000+7,274,000
1980年117,060,000+5,121,000
1985年121,048,000+3,988,000
1990年123,611,000+2,563,000
1995年125,570,000+1,959,000
2000年126,925,000+1,355,000
2005年127,767,994+842,994
2010年128,057,352+289,358
2015年127,094,745-962,607
2020年125,570,246-1,524,499
2022年1,2494,7000-623,246
日本の総人口の推移

上の表を見て分かる通り、2008年をピークに日本の総人口は減少を始めました。2021年から2022年を比べると55万人も減少しており、減少数は鳥取県の人口と同じくらいになります。

限界集落

限界集落とは、人口の50%以上が65歳以上の高齢者である集落のことです。社会・生活を維持するのが困難な地域のことです。

限界集落は地方の過疎地域に多く見られます。若者は進学・就職などで地域を離れてしまい、高齢者が多くなってしまったところです。バスや電車など公共の交通機関も廃止されてしまいます。また、お店や病院、学校も廃止されてしまいます。こうして生活自体が困難になるだけでなく、地域の伝統・文化も失われてしまうという問題が生じます。

限界集落は地方だけの問題ではありません。都市部にも見られます。例えば、東京都にも限界集落と同じ状態にある場所が数十箇所あると言われています。代表的なものに団地が挙げられます。高度経済成長期に作られた団地には、建設当初から住み続けている人が少なくありません。一方、若い人があまり入ってこないので限界集落化してしまうということです。団地内のお店も高齢者向けのものが多くなり、スーパーなどは経営が成り立たずに撤退してしまいます。コンビニだけが残され、若い人が引っ越してきても子育てがしずらい、そもそも生活がしづらいので若い人の数がますます減少していきます。

また、現在人気のタワーマンションなども将来は限界集落化するのではないかと言われています。

移民の受け入れ

移民とは、自分の国を離れて別の国に住むことを決めた人たちのことです。日本は今まであまり移民を受け入れていませんでした。なぜかというと、日本は島国で、昔から他の国と交流が少なかったからです。また、日本人は自分たちの文化や言葉を大切にしていて、他の国の人たちと違うことを誇りに思っていました。だから、日本に来る人は日本の文化や言葉に合わせなければならないという考え方が強かったのです。

しかし、最近では日本の移民受け入れに対する考え方が変わりつつあります。その理由の一つは、日本が人口減少社会になっていることです。人口が減ると、働く人も減ってしまいます。働く人が減ると、経済が成長しなくなったり、税金が足りなくなったり、介護や医療などのサービスが不足したりする問題が起こります。そうならないためには、外国から働きに来てくれる人たちを受け入れる必要があるという考え方が広まってきました。

もう一つの理由は、日本がグローバル化していることです。グローバル化とは、世界中の国々が経済や文化などでつながっていくことです。グローバル化すると、日本も他の国々と協力したり競争したりしなければなりません。そのためには、外国の言葉や文化を理解したり、外国の人たちとコミュニケーションを取ったりする能力が必要になります。そういう能力を持った人たちを育てるためにも、外国から来た人たちと交流する機会を増やす必要があるという考え方もあります。

しかし、移民を受け入れることには問題点もあります。一つは、文化的摩擦です。文化的摩擦とは、異なる文化や価値観を持った人たちが衝突したり不満を持ったりすることです。例えば、宗教や食事や服装や習慣などで違いがある場合、お互いに理解しようとしないとトラブルになることがあります。また、外国から来た人たちが日本語を話せなかったり、日本の法律やルールを守らなかったりする場合も問題になることがあります。そういう場合は、日本人も外国人もお互いに尊重し合って対話することが大切です。

もう一つは、社会的不平等です。社会的不平等とは、社会の中で一部の人たちが他の人たちよりも不利な立場に置かれることです。例えば、外国から来た人たちが日本人よりも低い賃金で働かされたり、差別や偏見にあったり、教育や医療などのサービスを受けにくかったりする場合です。そういう場合は、政府や企業や市民団体などが協力して、外国から来た人たちの権利や福祉を守ることが必要です。

日本では、特に東南アジアから介護士などの専門職を受け入れることが増えています。これは、EPAという経済連携協定によって決められたことです。EPAとは、日本と他の国々が経済や貿易などで協力するために結んだ協定のことです。EPAによって、日本は東南アジアから介護士などの専門職を受け入れる代わりに、東南アジアの国々に農産物や自動車などを輸出しやすくすることができます。しかし、EPAによって来た介護士などの外国人は、日本語能力試験や国家試験に合格しなければならないという厳しい条件があります。そのため、多くの人たちが日本で働き続けることができません。

外国から来た人を短期的な労働力と扱わず、長期的に日本に住んでもらい生活できるようなしくみを作って受け入れることが大切でしょう。日本語で試験を受けるには漢字を覚えるというハードルもあります。介護士の国家試験では試験を日本語以外で行うなどの工夫も可能かもしれません。

移民受け入れは日本社会を大きく変えてしまう可能性があります。どのように受け入れていくのかをよく考える必要があると言えます。

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