ワクチンとは
新型コロナウイルス感染症の拡大を封じ込めるための手段として日本はワクチン接種を大きな柱としてきました。ワクチンとは、毒性をなくすか弱めるかした病原体やその一部を体内に入れ、抗体(体内に入った異物から身体を守る働き)をつくり免疫を獲得させるためのものです。免疫を獲得すると感染症を予防することができます。人口の一定割合が免疫を獲得すると感染症の連鎖を防ぐことができます。この状態を集団免疫といいます。ワクチンが感染症対策の切り札といわれるのは集団免疫を獲得することができるからです。
日本で広く摂取されたファイザー社製・モデルナ社製のワクチンは抗原となるウイルスのたんぱく質を作る情報を担うメッセンジャーRNA(mRNA)を投与するという方式のものでした。これは近年使われるようになった手法です。このように新型コロナウイルス対策は科学の進歩とともに成り立っているのです。
ワクチン接種
2021年初、日本はワクチン接種に関して世界で後進国でした。河野太郎氏がワクチン担当大臣となり、当初は医療従事者に対する接種、そして4月12日に重症化しやすいといわれる高齢者に対する優先接種が始まりました。日本ではワクチン不足も問題になる中で、アメリカでは接種がどんどん進みました。7月4日、アメリカでは独立記念日ですが、今年は「コロナからの独立」といわれるほど接種が進んでいました。しかし、菅首相は1日100万人接種を進めるという目標を打ち出し、8月ころからは若者に対する接種も進みました。
東京オリンピック期間に感染者が爆発的に増加しましたが、秋になるとともに感染者数は落ち着きました。7月には医療崩壊が指摘され、救急車で病院に搬送してもらえないなどの事案も続発しました。しかし、秋以降は感染者の減少と共に重症者数も減少しています。これは、ワクチンの効果であるともいわれています。
新型コロナウイルスワクチンの接種割合ですが、日本は世界でも上位に入ります。(NHK特設サイトより)これは、菅内閣が地方自治体に接種をすすめさせたこと、東京と大阪に設置された大規模接種会場や職域接種などを行わせたことの結果だといえます。
新型コロナウイルスのワクチンは2回接種する必要があります。また、時間がたつとワクチンの効果が薄くなるため、3回目の接種を行おうという動きもあります。一方、緊急事態宣言が解除された後、飲食店を利用するときや旅行に行くなどのときにワクチン接種が完了していることを条件にするという動きもあります。そのためにワクチンパスポートを作り、利用しようという動きもあります。
しかし、新型コロナウイルスワクチンには副作用もあり、因果関係が不明なものも含めてワクチン接種後に死亡したという例もあります。ワクチン接種自体は義務ではありません。つまり、個人の自由なのですが、ワクチン接種をしていないことによる差別が起こっては本末転倒です。アメリカではワクチン接種を義務化しようとしているバイデン大統領にたいして、ワクチン接種の義務化に反対するトランプ前大統領とその支持者の対立も起こっています。
一方、先進国と発展途上国のワクチン接種率の差も問題になってきています。特にアフリカ大陸諸国ではワクチン接種率が低い状態です。先進国は自分の国のことを優先していますが、発展途上国の人々の命をどのように救うのか、その体制づくりが課題です。
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