アメリカの新しい大統領
2020年にアメリカ大統領選挙が行われました。勝利をしたのは民主党のジョー=バイデン候補でした。それまでアメリカ大統領を務めていたトランプ氏をやぶりました。トランプ大統領(当時)は選挙で不正があったと訴えましたが、この訴えは認められませんでした。また、2021年1月6日にはトランプ大統領の支持者がアメリカ議会上院に乱入するという事件も起こりました。
アメリカの大統領選挙は、各州に割り当てられた「選挙人」を取り合うという形で行われる間接選挙です。州ごとに行われる選挙で共和党の候補と民主党の候補が争います。これで勝利を収めた候補がその州の選挙人を総どりします。選挙人は上院で行われる大統領選挙で決められたとおりに投票します。つまり、選挙人を何人獲得したかで大統領が決まるというしくみです。
選挙人は全米で538人いますので、過半数は270人です。2020年の大統領選挙ではバイデン候補は過半数を上回る306人の選挙人を獲得して勝利を収めました。
大統領制と議院内閣制
大統領制と議院内閣制はどのように違うのでしょうか。大統領は国民の直接選挙で選ばれます。それに対して議院内閣制では首相を国民が直接選挙で選ぶことはありません。国民主権の下では国民がかかわったもののほうが上位に来るはずです。大統領制では大統領を国民が選んでいますから、大きな権力を持ちます。それに対して議院内閣制である日本では国権の最高機関は国会であるとされています。
この二つの大きな違いは「大統領は国民の直接選挙で選ばれるが、首相は国民が直接選挙で選ぶことはない」という点です。それによって働きに大きな違いが出てくるのです。
アメリカの変化
2021年1月に民主党のバイデン政権が成立しました。それまでは共和党のトランプ氏が大統領でした。トランプ氏はアメリカ・ファーストを唱え、保護貿易的な政治を行っていました。例えばNAFTA(北米自由貿易協定)をUSMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)に改めました。ここでは今までより関税をたくさんかけられるようにし、人件費が安いために製品も安いメキシコからの輸入を減らすしくみが採られました。つまり、アメリカの産業を保護しようとしていたのです。このような動きは他の場面でも見られ、TPP(環太平洋経済連携協定)からアメリカは離脱しました。また、アメリカの産業を保護する意味もあって地球温暖化防止のために結ばれたパリ協定からも離脱しました。これに対してバイデン政権は国際協調路線を取り、パリ協定へ復帰しました。アメリカが国際協調路線にもどることは世界政治に大きな影響を与えると思われます。
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