2010年12月、北アフリカのチュニジアで民衆による反政府デモが発生し、2011年1月に独裁政権が倒されました。これをジャスミン革命と呼びます。民主化の動きは周辺諸国に広がり、エジプトやリビアでも独裁政権が倒されました。この動きを総称してアラブの春といいます。
シリアでも2011年にアサド大統領の独裁に対する抗議デモが発生しました。これに対してアサド大統領は軍隊を使って鎮圧しようとしたため、反政府勢力と政府軍による内戦が始まりました。内戦はアメリカが反政府勢力を支援し、ロシアは政府軍を支援するなど各国が介入しました。さらにイスラム過激派組織のIS(イスラーム国)が一方的に建国を宣言し、少数民族や反対派を処刑するなど恐怖政治を行いながらも勢力を拡大していきました。
様々な勢力が入り乱れることで戦闘は泥沼化し、戦闘による死者は49万人に達しました。また、670万人が国外に逃れ、難民となっています。難民の多くは経済的に発展しているトルコやヨーロッパの国であるギリシアなどを目指しました。トルコには多くの難民が押し寄せ、難民キャンプがつくられましたが、プライバシーも十分でない劣悪な環境で過ごす難民も少なくありません。もちろん、子どもに対する教育が十分でないなど様々な問題があります。一方、ギリシアが難民の受け入れを拒否するということもありました。多くの難民が非常に厳しい状況に置かれており、国際社会の支援が必要な状況です。
ジャスミン革命 … 2010年に始まった、中東の民主化運動の総称
シリア … 2011年から内戦となり、アメリカやロシアなど大国も干渉し、さらにIS(イスラーム国)の出現もあって大混乱に陥った国
難民 … 紛争、政治的弾圧などにより自分の国を失い、国外に逃れた人のこと
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