ウクライナ紛争

ウクライナ紛争とは

ウクライナという国は、ヨーロッパとアジアの間にある国で、ロシアという大きな国の隣にあります。ウクライナは昔、ロシアの一部だったこともありますが、1991年に独立しました。しかし、ロシアはウクライナの一部を自分のものにしたいと思っている人が多くいます。特に、クリミア半島やドネツクという地域は、ロシアとウクライナの間で争われてきました。

ウクライナ紛争とは、2014年にウクライナの首都キエフで起きた政治的な抗議運動(ユーロマイダン)をきっかけに、ロシアとウクライナの間で対立が激化した紛争です。ロシアはウクライナの東部地域(ドネツクやルハンスクなど)に住むロシア系住民を支援し、ウクライナ政府との間で武力衝突が起きました。また、ロシアはウクライナの南部にあるクリミア半島を編入し、国際社会から非難されました。

2022年になって、ロシアはウクライナに対して特別な軍事作戦を始めました。これは、ロシアがウクライナの領土を奪おうとしたり、ウクライナの政府を倒そうとしたりするための作戦です。ロシアは、ウクライナの国境に近い場所に兵士や戦車や飛行機などを集めて、ウクライナに圧力をかけました。また、ロシアはインターネットやテレビや新聞などで、ウクライナの政府や人々を悪く言ったり、嘘をついたりしました。これは、ロシアがウクライナを支配することに賛成する人を増やそうとするためです。

ウクライナは、ロシアに対抗するために、自分たちの軍隊を強化したり、他の国から助けを求めたりしました。特に、ヨーロッパやアメリカなどの国は、ウクライナを支持しています。これらの国は、ロシアがウクライナに侵略することを防ぐために、ロシアに対して制裁という罰を与えたり、ウクライナに武器やお金や食べ物などを送ったりしました。また、これらの国はインターネットやテレビや新聞などで、ロシアの行動を非難したり、ウクライナの人々に勇気づけたりしました。

2023年9月までには、ロシアとウクライナの間で何度も戦闘が起きましたが、どちらも決定的な勝利を得ることができませんでした。両国ともに多くの人が亡くなったり怪我をしたりしました。また、多くの人が家や学校や病院などを失ってしまいました。冬の間に電気が通らなくなり、暖房のない中で過ごしている人も多くいます。

このような状況は、世界中の人々にも影響を与えました。例えば、ガソリンや食べ物や電気などの値段が上がったり、旅行や交流などが難しくなったりしました。

このようにして、ロシアとウクライナの間で起きていることは、とても大きな問題です。この問題はどう解決されるかはまだわかりませんが、平和的な方法で解決されることを願っています。

ウクライナ紛争と核兵器

この紛争は、核兵器の問題とも密接に関係しています。ウクライナは、かつてソビエト連邦の一部として世界第三位の核兵器保有国でしたが、1994年に核不拡散条約に加入し、核兵器を放棄しました。その代わりに、ロシアや米国などの核保有国からウクライナの領土保全や主権尊重を確約する「ブダペスト覚書」を受け取りました。しかし、ロシアはこの覚書を無視してウクライナに侵攻しました。これは、核不拡散体制に深刻な打撃を与えるとともに、ウクライナが再び核兵器を求める可能性を高めました。つまり、核兵器を持ちたいと考える国が増えるということです。もし、核兵器を持つ国が増えたならばそれだけで世界の安全に対する危機だと言えるでしょう。

ロシアはウクライナに対して圧力をかけるために、核兵器を使う可能性があると示唆したり、核兵器を持っていることを強調したりしています。これは恫喝(どうかつ)と呼ばれる戦略です。恫喝とは、相手に自分の方が強いと思わせて、自分の言うことを聞かせることです。

核兵器は非常に強力で危険な武器で、使えば大勢の人や動物や植物が死んだり、環境が汚染されたりします。だから、核兵器を使うというのは非常に恐ろしいことです。ロシアがなぜ核兵器で恫喝するのかというと、ウクライナに対して自分の思い通りにさせたいからです。このように核兵器を持っていることで相手を脅し、自分の安全を守ることができるという考え方があります。これを「核抑止力」と言います。実際に、ロシアが核兵器を使うことを恐れて欧米諸国がウクライナ支援に及び腰になる時があったと言われます。もしそうだとすると、核抑止力は効果的に働いていると言えるでしょう。

ロシアはウクライナの一部を自分の国にしたいと考えていますし、ウクライナが欧米と仲良くするのを嫌がっています。ロシアは自分の国の利益や安全を守るために、核兵器を使う可能性があると言っています。

しかし、これは本当にそうなのでしょうか?核兵器を使ったら、世界中から非難されたり、制裁されたりすることになります。それに、核兵器を使えば、相手も核兵器で反撃するかもしれません。それでは、ロシアも大きな被害を受けることになります。

つまり、核兵器を使うことは誰にもメリットがないのです。では、ロシアは本当に核兵器を使うつもりなのでしょうか?それとも、ただ相手を怖がらせて自分の思い通りにさせようとしているだけなのでしょうか?この問題には確かな答えはありませんが、核兵器が使われないに越したことはありません。核兵器は平和や安全に反する武器であり、人類にとって最大の脅威です。

その他の紛争

現在でも、ウクライナ以外の地域でも世界各地で紛争が発生しています。2023年に話題になったものを確認します。

スーダン

スーダンは、アフリカ大陸の北東部に位置する国です。スーダンは、2011年に南部の地域が分離して南スーダンとなった後も、面積ではアフリカで3番目に大きい国です(分離前はアフリカ最大の面積)。しかし、スーダンは、政治的・経済的・社会的な問題に悩まされてきました。特に、民族や宗教の違いによる対立が深刻でした。スーダンは、イスラム教徒が多数を占める北部と、キリスト教徒やアニミズム(自然崇拝)の信者が多い南部との間で、長年にわたって内戦を繰り返してきました。2011年の分離は、この内戦を終わらせるための和平合意の一環でしたが、その後もスーダン内部では紛争が続きました。

2023年には、スーダンの首都ハルツームで大規模な反政府デモが発生しました。デモ隊は、軍事政権による弾圧や人権侵害、経済危機などに抗議しました。デモ隊は、民主的な選挙の実施や軍の権力の制限を求めました。しかし、軍はデモ隊に対して暴力的に強制排除を行いました。このとき、多数の死傷者が出ました。国際社会は、軍の行動を非難しました。一方、軍は、デモ隊が外国勢力に扇動されていると主張しました。

この紛争は、スーダン全土に波及しました。特に、ダルフール地方や南コルドファン州などの周辺地域では、反政府勢力や民兵組織が蜂起しました。これらの勢力は、中央政府からの自立や自治を求めています。また、人種や民族の差別や虐待を受けてきたと感じています。これらの地域では、軍と反政府勢力との間で激しい戦闘が行われました。この戦闘では、多くの住民が殺害されたり、家を追われたりしました。国連は、この紛争が人道危機に発展する恐れがあると警告しました。

スーダンにおける紛争は、現在も解決の見通しが立っていません。国際社会は、スーダンの当事者に対して対話や交渉を促していますが、双方の立場は対立しています。また、スーダン周辺の国々も紛争に関与しています。エジプトやサウジアラビアなどは軍を支持していますが、エチオピアやエリトリアなどは反政府勢力を支持しています。これらの国々は、スーダンの水資源や安全保障などに関心を持っています。スーダンにおける紛争は、地域的な緊張や不安定さを高めています。

ミャンマー

ミャンマーでは、2021年2月1日に軍事クーデターが発生しました。このクーデターは、2020年11月に行われた総選挙の結果に不満を持った軍が、国家評議会を設置して政権を掌握したものです。クーデターに反対する市民や民主化運動の指導者たちは、抗議デモやゼネストなどの非暴力的な手段で民主主義の回復を求めましたが、軍はこれらの活動を弾圧しました。国際社会からも多くの非難や制裁がありましたが、軍は譲歩する姿勢を見せませんでした。

2023年に入ってからは、紛争はさらに激化しました。軍は市民に対して銃撃や拘束などの暴力をエスカレートさせ、多くの死傷者や逮捕者が出ました。一方、市民側も自衛のために武装化し始めました。特に、少数民族の武装組織や学生の抵抗組織などが、軍と交戦するようになりました。これらの組織は、連邦民主主義評議会(NUG)と呼ばれる暫定政府を支持しています。NUGは、クーデター前の正当な政府として自らを位置づけており、国際的な承認を求めています。

現在、ミャンマーでは、軍とNUGの間で内戦状態にあると言えます。両者は和平交渉を行う意向がなく、互いに勝利を目指して戦闘を続けています。しかし、この紛争には明確な終わりが見えません。軍は国内のほとんどの地域を支配していますが、市民の反発や国際的な孤立によって弱体化しています。NUGは市民や少数民族の支持を得ていますが、統一された指導体制や戦略が欠けています。また、周辺国や大国の関与も紛争の行方に影響を与えています。

また、ミャンマーにはロヒンギャと呼ばれる少数民族の問題もあります。ロヒンギャとは、ミャンマーのラカイン州に住むイスラム教徒の少数民族です。彼らはミャンマー政府によって国籍を認められておらず、国連は彼らを「世界で最も迫害されている少数民族」と呼んでいます。2017年には、ミャンマー軍の暴力によって約70万人のロヒンギャが隣国のバングラデシュに逃れました。この事件は国際社会から「民族浄化」と非難されました。

難民保護のために

現在、世界には多くの難民がいます。難民とは政治的・宗教的に弾圧されたり、自分の国で紛争が起こったりしたため自国にいられなくなってしまった人々のことです。

難民は自分の国から保護を受けられないため、安全に暮らすことが難しくなります。そもそも、どの国で暮らせばいいのかもわかりません。

そのような人々を保護するために、国連も活動しています。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が中心となっています。この組織のリーダーが国連難民高等弁務官です。かつて、緒方貞子という人がこの役職につき活躍していました。

一方、日本は難民の受け入れにあまり積極的ではありません。ただし、ウクライナ人は「難民」ではなく「避難民」として受け入れを行っています。ただし、これに対しては「白人だと受け入れるのか?」「相手が先進国だからと言って受け入れるのか?」という批判があります。憲法十四条との関係で考えてみるのも面白いかもしれません。

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